髪の毛や眉毛、まつ毛がごっそり抜けて
── 抗がん剤治療が始まり、闘病中の姿をSNSで発信し続けていらっしゃいました。治療の途中で、ウィッグを買いに行かれたそうですね。
希良梨さん:友人と一緒に買いに行ったのですが、心配してくれた友人が私よりも詳しく調べてくれていて助かりました。病院にもウィッグが売られていますが、年齢が高い方に向けたデザインといいますか(笑)。これまで髪型にはずっとこだわってきたので、なるべく自分に似合うウィッグを見つけたかったんです。
抗がん剤の影響で髪は抜けてしまうだろうから、そのショックを少しでも減らすために事前に髪を短くしていたんですが、それでも最初に抜けた日のことは今でも忘れません。お風呂から上がって、ひと息ついていたら、髪の毛がごっそりタオルについていることに気がつきました。そのあと髪を触ってみたら、どんどんどんどん抜けていくんです。そこからすぐ、20年前からお願いしている美容師さんに電話しました。「急でごめん、丸坊主にして!」って。
抗がん剤治療をしていることはすでに話していたのですが、すぐに時間を作ってくれて、美容室で人生初めての丸刈りをしました。そのあとは少し伸びてくるとまだらになってしまうのが気になって、自分でバリカンを使って坊主にしたり、床屋さんでスキンヘッドにしてもらったりしていました。

── ウィッグもそうですが、希良梨さんのスキンヘッド姿はオシャレに見えます。
希良梨さん:ありがとうございます。「似合っている」と言っていただけることが多くて、これも私の強みなのかなと思うようになりました。心身のバランスが崩れてつらいなかで、何か少しでも楽しみを見つけてようとしていたところもあります。何か自分のモチベーションを上げられるものをと思って、入院の際は、かわいい部屋着や大好きなメイク道具を持って行っていました。
髪の毛が抜けてしまうことは覚悟していたものの、まつ毛まで全部なくなってしまったのはショックでした。眉毛はメイクでどうにかなるのですが、今までマツエクが好きだったこともあって…。今でも、鏡を見るたびに「いったい、いつになったらまつ毛が生えてくるんだろう」と思います。最近はレンズの色が薄いサングラスがあるので、外出の際は目元を隠すために昼夜問わずサングラスをして、ウィッグをして出かけています。
人の視線が気になるということもありますが、オシャレは何より自分の気持ちを変えるために大事だと思うんです。ウィッグはつけたあとのセットも大変なので、常に悩まされています。それと同時にウィッグのおかげでいろんなヘアスタイルを楽しめているので、感謝もしています。オシャレで使いやすいウィッグ作りにも携われたらいいですね。「病人だから、服装はこうじゃなきゃ」とか「病気だからこうしなければならない」ということにとらわれすぎなくていいと思います。