つき合ってすぐに遠距離結婚を決めビリヤニハウスで同居生活

── おつき合いからご結婚までの期間はわりと短かったとか。きっかけはあったんですか?

 

大澤さん:結婚を決めたのは、つき合って半年ぐらい経ったころでした。めっちゃ早かったです。夜に川沿いを散歩していたら、突然「私、来年からシンガポールに行こうと思う」って言い出したんです。いきなり別れ話かと思ったら、「だから結婚しましょう」という話でした。「仕事早え!」って思いましたね(笑)。

 

── テキパキとこういう算段を組んでいるから結婚しよう、みたいな感じだったわけですね。大澤さんもわかったって、わりとすんなり受け入れたのでしょうか?

 

大澤さん:「とりあえず、結婚するんだったら今すぐ同棲しないと」となり、ビリヤニハウスに引っ越してきてもらいました。

 

── え?大澤さんが引っ越すのではなく、奥さんがビリヤニハウスに?

 

大澤さん:半年ほどビリヤニハウスで一緒に暮らしていました。僕はビリヤニハウスを10数年運営していて、いろんな人を見てきていたので、ビリヤニハウスで一緒に暮らせないと結婚は難しいなって感じていたんです。妻はそこでの生活を気に入ってくれたから、安心しました。

 

ビリヤニ
奥さんも惚れたという大澤さんのビリヤニ

── ちなみに、お客さんと店主の関係だったとき、最初は何と声かけたのか、教えてもらってもいいですか?

 

大澤さん:僕から「大好きな店なんですけど、よかったら今度中華を食べに行きませんか」って誘ったんです。そしたら妻は大喜びで来て、すごく楽しんでくれました。

 

僕は、SNSでバズったりテレビで取り上げられたりして話題性やおしゃれさで人気を集めるお店には興味がありません。たとえ日本人ウケが悪くても、「本当においしい」お店に行きたいんです。昔、中国に住んでいたこともあって本場の中国料理は本当にうまいと思っています。最近増えてきたガチ中華あるじゃないですか。池袋にある、中国語しか通じない店に誘ったんです。めっちゃ味はうまいんですよ。でも普通はデートで嫌がられるだろうなという。

 

実はそれまでも細々とマッチングアプリで婚活はしていたんですが、ガチ中華に誘っても誰からも返信がなかったんです。でも、雰囲気に流されずおいしさを大事にする人と一緒にいたいと思っていました。おいしさが何よりも優先で、そのほかは二の次。もちろんある程度の綺麗さは必要ですけど、話題づくりや映えを狙っている店はちょっと…僕は無理なんです。

 

── ガチ中華をほおばる奥さんを見て、この人とは合うなと。

 

大澤さん:グッときました。そもそも僕のビリヤニが好きってことは、もうその時点で味覚が合うことはわかっていたんですけど。その後も何回かご飯を食べに行きました。いちばんわかりやすいというか、そこが合わないとちょっと難しい部分はありますよね。食に対してどれだけ思い入れが強いのかっていうのは。