家族を持つことがすごく怖かった
── ご家族を亡くされた経験は、その後、ご自身が結婚や家族を持つことにも影響はありましたか?
木村さん:父が亡くなってしばらくは、家族を持つことがすごく怖かったですね。ただ、転機があったんですよ。
たまたま『世界ウルルン滞在記』のお仕事でスペインに行ったとき。ある方から養子についてお話を聞く機会があったんです。日本では不妊や家庭の事情によって、養子縁組を考える家庭が多いと思います。でも、私がスペインでお話を聞いた家庭は「もっと家族を増やしたいから養子縁組をする」という考えでした。
彼らのお話を聞きながら、私も「家族が欲しい」「家族を増やしたい」っていう感覚がジワジワと芽生えてきて。あぁ、自分でもそんな気持ちがあるんだなって思ったときに、今の夫と出会いました。
── 出会うべくして、出会うタイミングだったような。その後、ご結婚されたんですね。
木村さん:夫とは、今もとてもいい関係を築けています。一方で、父のこともあって、結婚して2年くらいは、「この人を失ったらどうなるんだろう」って、幸せがゆえに、不安を感じた日もたくさんありました。
ただ、それも時間と共に変化していきました。いつまでも、先のことを心配して不安になるよりも、「いつ何かあってもおかしくない」「反省はするけど、後悔しない人生を送ろう」って覚悟を決めたんです。
だから、今でも夫が出かけるときは、笑顔で送り出す。もしケンカ中だったとしても、ちゃんと「行ってらっしゃい」と目を合わせて送り出す。
そこは、今でも大事にしています。
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PROFILE 木村多江さん
1971年生まれ。主演映画「ぐるりのこと。」では多数の映画賞を受賞する。以降、ドラマ・映画・舞台等幅広く活躍する。
取材・文/間野由利子 撮影/坂脇卓也
衣装クレジット:ブラウス・ベスト・パンツ/すべてメイメイジェイ(エスケーシー) イヤリング・リング/ともにヴァンドーム青山(ヴァンドーム青山本店) イヤーカフ/ケンゴ クマ プラス マユ(ヴァンドームヤマダ) ブーツ/ダイアナ(ダイアナ銀座本店)