長い間望んでいた妊娠と、撮影が重なってしまったと語る木村多江さん。出産前に8か月の入院を余儀なくされ、長い間、寝たきりの生活を過ごしたといいます。一方で、撮影に影響を及ぼしてしまったことについても罪悪感を抱くように。お話を伺いました(全5回中の5回)。

8か月に及ぶ長期入院

── 木村さんが妊娠されたのは35歳のときですね。

 

木村さん:妊娠が分かったときはすごく嬉しかったですね。長いあいだ子どもを望んでいましたが、自分の体質的にも難しいだろうって諦めていて。

 

── ただ、妊娠がわかったときはドラマの撮影中だったとか。

 

木村さん:妊娠できたことは、このうえない喜びでした。でも、仕事を受けたからには責任をまっとうしないといけない。病院のサポートを受けながら、どうにか頑張って撮影を続けよう。そう思っていた矢先、体調を崩してしまったんです…。

 

その結果、8か月もの長期入院を余儀なくされてしまいました。

 

私のせいで、撮影が延期になってしまった。多くのキャスト、スタッフの皆さんにご迷惑をお掛けすることになってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

── ご自身を責めていらした。

 

木村さん:入院中も、ご迷惑をおかけした皆さんに泣きながらお詫び状を書き続けましたね。でも「とにかく体がいちばん大事だから」と皆さん言ってくださって。「退院したら、必ず一緒にやりましょう」と温かい言葉を受け取りながら、精神的にも助けていただきました。

 

「復帰したら必ず連ドラを再開させよう」。そう強く感じながら、同時にお腹の子の命が助かるように祈っていました。

 

みなさんに温かい言葉をいただいて

── 無事に出産されて。退院後はいかがでしたか?

 

木村さん:入院中は、8か月のあいだ、ほぼ寝たきりだったんです。退院当初は歩くことも大変で、階段も手すりがないと危なくて。出産から3か月後に仕事復帰しましたが、芝居で活発に動いた日は、ドッと疲れが出ました。また、撮影しながら授乳や保育園準備にも追われていて、ほぼ一睡もできない日もありましたね。

 

撮影は数か月にも及びましたが、髪の毛がドッサリ抜けて。軽く走れるようになるまで、3年はかかったと思います。

 

── 産後も、かなり大変な日々を過ごされていたのですね。

 

木村さん:ただ、撮影チームの皆さんがとても温かくて。撮影自体はハードでしたが、それでもなんとか無事に撮影を終えることができました。

 

当時のチームの人たちとは、今でもおつき合いが続いているんですよ。毎年1年に1回くらいみんなで集まってご飯を食べたりして。とてもありがたいですね。