3年前、夫婦関係が悪化し、「もう離婚かな」というメールをマネージャーに送ろうとしたら、間違って夫に送ってしまったという「誤爆離婚」を公表した鳥居みゆきさん。元々友人関係から発展した「ルームシェア婚」だったそうですが、性格が似ている相手だったからこそ、夫婦関係を続ける難しさがあったそう。今の率直な思いを語ってくれました。

鳥居みゆき
テレビ番組で明かした「誤爆離婚」について語る、鳥居みゆきさん

離婚で傷つく人はひとりもいなくていい

── 先日公表した3年前の「誤爆離婚」ですが、YouTubeで「両親が傷つくのが嫌で3年間言い出せなかった」と明かされていますね。

 

鳥居さん:そうなんです。私は離婚で全然傷ついていないし、傷つく人なんてひとりもいなくていいのに、私が両親に話すことで、もしかしたら傷つく人が出てきちゃう可能性あるじゃないですか。だから、ずっと言えなかったんです。

 

── 優しいんですね。

 

鳥居さん:優しいのかな…。よく優しいって誤解されるんです。優しくはないですよ。優しいって思われて「やった、しめしめ」って思っている人は、優しくないでしょ。

 

── 元夫さんとは、離婚した今がいちばん仲良しだと伺いました。

 

鳥居さん:そうなんです。ずっと友達だったんですよ。それがいきなり一緒に住みはじめて。

 

「一緒に住むんなら、同棲とかになっちゃうのは嫌だから、結婚しない?」って感じで結婚したんです。ルームシェア婚なんです。だから、ずっとお互いルームシェアの気持ちではいたわけですよ。

 

なのに、夫婦になっちゃうと「なんで片づけてくれないの!?」とかになっちゃうんですよ。長い間、もうメールでしか会話してなかったんですよ。一緒にいるのに。

鳥居みゆき
「今がいちばん仲が良い」という元夫との関係について語る鳥居みゆきさん

お互いが不満を壁に向かって言う

── ご結婚から10年以上経っていますよね?

 

鳥居さん:結構経ちましたね。25歳で結婚して、39歳で離婚したから…、14年ぐらいは一緒に過ごしていたんで、仲は良いんですよ。

 

私と相手は、お互い似ているんですよ。似ている人と結婚したがために、似ていることしか気づけないんですよ。

 

壁にたまったホコリを、私も相手も許せるけど、許せる範囲が違うんです。

 

たとえば、私が彼に「水道代、後で払っといてね」ってメールしたとするじゃないですか。だから、彼は明日払おうと思っているわけですよ。だけど私は「後で」って言っても、今日の「後で」だと思っているんです。

 

だから「払ってって言ったじゃん!もー!」ってなる。それを相手に言わず、壁に向かって「ワーッ」とかって言うんです。

 

お互いがそういう気質で、お互いが壁に向かって言うから、だんだん「これってしんどいのかな」と思ってはいたんですけれど。

 

直接的な離婚の原因は、本当に誤爆離婚です。あの時、一瞬「ごめん~」とか言って仲良くなったんですけど、「夫婦として仲が悪いよりは、友達に戻って仲がいいほうが良くない?」みたいになって。離婚してからは、しょっちゅうご飯に行っています。

 

家にも遊びに来たりとか。だけど、お互い「もう一緒には住まないだろうな」って思っています。

 

やっぱりひとりが好きな人間が、ひとりが好きな人間と一緒にいるのは無理ですね。だからコンビじゃないんだし。そこに早く気づけばよかった。だからこそ、私はピン芸人なんじゃんって。

“バツイチ”じゃなくて“二重丸”

── なるほど。

 

鳥居さん:ピン芸人はね、ピン芸人同士でいくらユニットを組んだところで、我が強すぎるんでダメなんです。

 

── 今は結婚にはもう興味はないですか?

 

鳥居さん:今は、男だの女だのに、何にも興味なくて。あ、合コンは面白そうだから行ってみたいなというのはあります。

 

── 人生経験として、ですか?

 

鳥居さん:そうそう。私、合コン行ったことないんで。

 

結婚は、縛られるのがもうダメなのかがわかってるからな。昔は「バツイチ」なんて言ったけど、私は全然バツだとは思っていません。まるっと、二重丸です。

鳥居みゆき
「バツイチじゃなくて、二重丸」と語る鳥居みゆきさん

まだ親に秘密にしていること

── YouTubeでは、自分が芸人であることも両親に打ち明けていない、ということも明かされてましたね。

 

鳥居さん:そうです。まだ言ってないです。

 

── そろそろ気づいてるんじゃないかと…?

 

鳥居さん:うーん、気づいてると思います(笑)。

 

── 言わなかったのは、理由があるんですか?

 

鳥居さん:昔、傷つくお笑いが多かったじゃないですか。なので、親がお笑いを好きじゃなかったんですよ。なので、あんまり好きじゃない職業につけたって言うのもな、と。

 

しかも、この業界って難しくて、ぬるっと職業になってるんですよ。

 

18歳のときに劇団に入って演技の勉強をしたり、養成所に入ったり、いろいろ並行してやっていたんですが、そのころって稼げないじゃないですか。

 

で、ちょっとずつ稼げるようになる。「どこで言うの?」になるわけですよ。いわゆる「これが初任給です」がないわけですよ。

 

── 言われてみれば…。

 

鳥居さん:売れてないときも、歩合で3000円とか手に入ったりするんですよ。「これ、初任給じゃないよな?」みたいな。わかんないんですよね。会社員だったらあるわけでしょ?初任給で母親とかに何か買ってあげるとか。

 

だから、まだもらってないのかもしれないですね、初任給。

 

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PROFILE 鳥居みゆきさん

2001年に芸人デビュー。「ヒットエンドラーン」などのネタでブレイクし、2008年、2009年の「R-1ぐらんぷり」決勝進出。生と死、時事ネタなどを盛り込んだ単独ライブ「狂宴封鎖的世界」も精力的に行う。また、数々の映画やドラマ、舞台などで主演を務めるなど女優としても活躍。このほか、ミュージックビデオの監督や、小説「余った傘はありません」刊行など、マルチに活躍。2022年4月から発達障害をテーマにした番組「でこぼこポン!」(Eテレ)にレギュラー出演する。

取材・文/市岡ひかり 撮影/植田真紗美