ヘルプ部隊の「拡充隊」がシフトをカバー

──年間休日休暇120日とのことですが、スープストックトーキョーは長時間営業する駅ナカや商業施設の出店がメインです。スタッフの休みを増やすことで、店舗のシフトが人手不足になることはないのでしょうか?

 

江澤さん:

そんなときのために「拡充隊」がいます。シフトを組む段階で人員が不足することが予め分かっている店を「拡充店」と位置付け、シフトが埋まらない日は「拡充隊」がヘルプで入って勤務する仕組みを作りました。

 

 

──「拡充隊」ですか!でも、いつもと違う人が勤務すると引き継ぎが上手くいかなかったり、イレギュラー案件が発生して結局休んでいる人に連絡がいく、なんてトラブルも起こりそうですが…。

 

高砂さん:

拡充隊は店長経験がある人やベテラン勢なので、そうした心配はありません。むしろ拡充隊と働くことが他のメンバーの刺激になったり、いつもの関係性ではちょっと言いにくいことをベテラン勢の拡充隊に相談できる、という良いケースもあるんです。

 

江澤さん:

スタッフが夏休みを取るなど長期休暇の際は、毎回違う拡充隊が行くと連携が取れなくなるので、担当者と一日の流れやポイントを引継ぎし、同じ拡充隊が入るようにしています。

 

店舗スタッフの仕事の魅力はさまざまで、一つのチームを構築する面白さもありますが、大型店や常連さまの多い店など色んなお店を経験する楽しさもあるんです。拡充隊の社員も、他店を経験した後に自店に戻るとより視野が広くなった状態で働けるので、お互いにメリットがあるんです。

 

 

理想を掲げるだけでなく、実現するための制度を構築していくことで年間休日休暇120日を達成したスープストックトーキョー。「開拓」という名の通り、店頭で働いてきた2人から聞く一つ一つの言葉には説得力がありました。現場の当事者の声には、新しい働き方へのヒントがたくさん隠れていそうです。

 

取材・文/秋元沙織