顔ヨガポーズをする間々田佳子

鏡や電車の窓ガラスに映った自分の顔をふと見たとき、「あれ、私、なんか老けた…?」とショックを受けたことはありませんか?年齢を感じさせるシワやたるみ、なんとかしたいですよね。そんなとき、つい頼りたくなるのは高価な化粧品やエステですが、効果を実感するまではかなりの時間と投資が必要なんてこともよくある話です。

 

今回はそんなお悩みをタダで解決する「顔ヨガ」をご紹介します。教えてくださったのは、TVや雑誌などでも人気の間々田佳子先生です。まずは、顔ヨガとは何か、どのくらいで効果が出るのかなどお話をうかがいました。さらに今日から始められる基本のポーズも教えていただきました。

目次

顔ヨガとはどんなエクササイズ?

──さっそくですが、そもそも「顔ヨガ」ってどういったエクササイズなんですか?

 

間々田さん:「顔ヨガ」とは、顔の表情筋という筋肉を鍛えストレッチすることをいいます。顔には約60の表情筋があり、表情筋が動くことで喜怒哀楽の複雑な表情が作られるのです。

 

表情筋は言語にも深く関係しているのですが、日本語は平均してたったの20%しか表情筋を使わなくても発声できるといわれています。ですから、意識して使わないと、使われないまま衰えていく表情筋がたくさんあるのです。

 

また、人にはそれぞれ「表情グセ」というものがあって、同じ表情ばかりすることによって眉間やおでこにシワができたり、使われない表情筋がたるんだりします。

 

こうした日々の積み重ねが老け顔の原因になっているのです。

 

顔ヨガでは、伸びきって固まった筋肉を鍛えることで弾力を取り戻し、むくみやたるみ、目の下のクマ、表情ジワを解消し、引き締まった小顔、リフトアップ、さらには美肌まで手にすることができるんです。

 

──顔ヨガっていいことだらけなんですね。ただ、どうしても忙しいと毎日続けられるか心配なのですが…

 

間々田さん:顔ヨガは何か道具が必要なわけでもないし、忙しくても何かをしながらできるので始めやすいと思います。料理を作りながらとか、お掃除しながらとか。何かの作業をしている時でも、顔だけはヒマですよね?そんな時に「ながら」で行えば続けられますよ。

 

ただ、顔ヨガを始めると表情筋を動かす範囲が広がるので、今まで動かしてなかったところに“よれ”が出ることもあるんです。それで「シワになるから怖い」ってやめちゃう人も多いんですけど、筋肉が衰えているので顔をギュっと収縮すればシワが寄って当たり前です。そこでやめないで続けていただきたいです。そうすると表情筋が鍛えられて弾力が復活します。顔ヨガを続けているうちにシワが目立たなくなったっていう人も多いんですよ。さらに代謝もよくなるので、肌のターンオーバーが促され、吹き出物が治ったっていう人もいます。実は私も顔ヨガを始めた38歳くらいの頃はニキビがひどかったのですが、毎日顔ヨガをしていたらすっかり治りました。

 

忙しくなると顔もついこわばりやすいので、そんなときこそ顔ヨガをすることで表情筋を柔らかくして、表情豊かになって欲しいなと思います。

 

「年齢とともに素敵でいたい!」という思いは皆さんあると思うので、意識して動かしてみてください。習慣にしてしまえば楽ですから、習慣になるまではキッチンに行ったらこのポーズをやろうという風にマイルールを決めるといいと思います。

 

──確かに、顔だけなら着替えとかも必要ないし、やろうと思ったらすぐにできますよね。何かをしながらできるって助かります。やり方は難しくないですか?ヨガのように呼吸法とか言われるとハードルが上がるのですが…

 

間々田さん:最終的にはヨガのように呼吸も合わせ、流れるようにできるのがベストです。でも私がご紹介している顔ヨガは、呼吸法も難しく考えずに、とにかく鍛えてもらうことを優先しています。「顔の筋トレ」と言っていただいてもいいのです。あまり難しく考えずに顔の筋肉を満遍なく動かすと思ってもらえれば。

 

使わなければ顔だって筋肉だから垂れてくるし、シワが入るし、老け顔になっていくけど、筋肉だからこそ、鍛えてあげれば何歳になっても引き締まるし、表情も豊かになる。だから私はとにかく顔を動かしましょうって伝えています。

 

ただ、間違った筋肉の使い方をしないようにだけ気をつけていただきたいです。同じ筋肉ばかり使っているとシワが入ったりたるみになったりするので、できるだけいろんな表情筋を鍛えて、20%のところを80〜90%使うイメージを持って動かしていくようにするといいですね。

 

──満遍なく鍛えることが大事なんですね。どのくらいの期間で効果を実感できるものでしょうか?

 

インタビュー中の間々田佳子

 

間々田さん:私の場合は、笑う時に口角が上がらないのが悩みだったので、口角を上げるポーズだけ毎日行うところから始めたのですが、最初に「口角が上がるようになった!」って実感できるまでは3日でしたね。さらに2週間くらいで顔がキュッって引き締まって、今までにない笑顔ができるようになったことで自信が生まれました。そこからさらに1ヶ月後くらいには別人のようになりました。

 

その後、引き締めるポーズに特化して行うようになったんですけど、頑張りすぎて不自然な顔になっていた時期もありました(笑)。スポーツやダンスもいきなりみんな上手にできるわけではなくて、練習することで身につくものってあると思うのですが、顔ヨガも一緒。続けていくことで筋肉が動きを覚えていくんです。

 

ですから、これから始める方は、最初はとにかくあまり難しく考えずに、今回ご紹介するポーズをまずは3回ずつ毎日やってみましょう。それも大変という方はどれか1つ、一番自分に必要だと思われるポーズ、例えば「眉ロック目ワイパー」だけでもやってみてください。「なんか目が大きくなってきたかも」などと効果が実感できると楽しくなってきますから、そしたらほかの部分も鍛えてみるといいと思います。

いつやるの?顔ヨガにベストなタイミング

──そんなに早く効果が実感できるならすぐにでもやってみたいです!顔ヨガを行うのにおすすめの時間帯はありますか?

 

間々田さん:朝起きた時と、夜のスキンケア時に行うと効果大です。ただし寝る直前には行って欲しくないので、夜はスキンケア時を目安にしてください。

人は寝ている間も無意識に眉間や口に力が入っていたりするものなんです。ですから、まず朝起きたら顔ヨガで顔をリセット。化粧をする前に行うと表情筋が柔らかくなり、温かくなって血行やリンパの流れがよくなるので、スキンケアの成分が肌の中に入りやすいという効果もあります。ただ、これからの季節は乾燥しやすいので、乾燥した状態ではしないように、皮膚への負担がない状態で行いましょう。私は化粧水を塗ったら顔を動かして、その後にクリームを塗るようにしています。

 

また、夜はその日の表情グセを解消しておくことで、寝ている間にも、顔をリラックスさせることができます。顔の筋肉の疲れを抜かないでそのまま眠りにつくと、寝ている間も緊張状態が続いて、眉間にシワが寄ったりと表情グセが出てしまうことが多いのです。

 

──確かに、朝起きたら眉間にシワが入っていることがあります。それは表情グセだったんですね。朝と夜は必須ですね。ちなみに何も努力をしないで年齢を重ねると、具体的に顔はどんな風になりますか?

 

間々田さん:頬が下がる、目力がなくなる、口まわりに締まりがなくなる、首まわりがもたついてくる、顔全体が落ちてくる、というのが一般的ですね。顔ヨガには、これらのお悩みを解消するポーズがたくさん盛り込まれています。

 

まずは鏡を使って自分の表情グセや衰えを感じる部分をチェックして、これからどこをどう鍛えていけばいいのか把握することが大切です。

 

──今の自分の顔とじっくり向き合うのは勇気がいりますが(笑)、しっかり現状把握をしないとですね。自分の顔をチェックする方法を教えてください。

顔の状態をセルフチェック

間々田さん:まずは、鏡を使って、現在だけでなく、過去・未来の自分の顔がどんな状態なのかを知るところから始めましょう。人は加齢によって顔に「ゆるみ」ができます。その「ゆるみ」こそが、シワ・たるみ・むくみなどの原因になるんです。「ゆるみ」は人によってあらわれ方が異なるので、鏡を見ながら自分の顔のどの部分に「ゆるみ」があるのかチェックしましょう。その部分が顔ヨガで鍛えるポイントになります。

 

〈現在〉

正面の手鏡を見る間々田佳子

鏡を正面に持ち、目を閉じて顔の力を抜きます。ゆっくり目を開けて鏡を見ます。これが今の顔です。

 

鏡を見るとき、つい口角を上げたり上目遣いをしたりと表情を作ってしまいがちですが、ここでは無表情の顔をしっかりチェックしましょう。

 

〈10年後〉

下向きの手鏡を覗き込む間々田佳子

鏡面を天井に向けて持ち、上から鏡を覗き込みます。これが10年後になるかもしれない顔です。

 

筋肉を鍛えないと重力に逆らえず、たるんだり、シワができたりします。自分の顔のどこがゆるんでいるのかをしっかり把握しましょう。

 

〈10年前〉

上むきに手鏡を見上げる間々田佳子

鏡を持ち上げ鏡面を下に向けて、下から鏡を見ます。これが10年前の顔です。この顔が目標になります。

 

現在・過去・未来の顔を鏡で見るだけでなく、写真に撮ってじっくり確認したり、後から比較できるようにしておきましょう。

効果的に顔ヨガを行う5つのポイント

①呼吸を止めない

鼻から吸って鼻から吐く、鼻呼吸をしましょう。顔のポーズに集中すると、つい息をするのを忘れてしまいがちですが、息を止めないようにしましょう。

 

②ポーズは思いきり!

中には恥ずかしいと思うような変顔もありますが(笑)、思いきりが大事。筋肉を最大限に伸縮させることで表情筋が鍛えられるのです。

③使っている表情筋を意識して!

鏡を見ながら動かしたい表情筋を意識して行いましょう。はじめは思うように動かなくてびっくりするかもしれませんが、続けていくうちに変化を実感できるようになります。

④左右対称に

ポーズは必ず左右行いましょう。人によっては「右側は動かしにくい」などあるかもしれませんが、気になる方を1回追加して行うなど、顔ヨガで左右バランスも整えましょう。

⑤いつでもどこでも

道具いらずなので、いつでもどこでも気軽に行えます。生活の中で習慣にするとよいでしょう。

基本の顔ヨガ

顔ヨガのポーズはおよそ100種類ありますが、まずは基本の顔ヨガポーズ3つをご紹介します。

 

時間の目安は、1つのポーズにつき10秒くらい。自分の中で心地よい疲れが出るくらい、3セット〜5セット続けて行います。疲れたらやめてもOKです。毎日1ポーズからでもいいので、まずは始めてみましょう。

1.しゅわ〜の顔 (顔全体のむくみ解消)

顔ヨガ「しゅわ〜の顔」をする間々田佳子

STEP1:鼻から大きく息を吸ってから、「しゅ〜」と口から息を吐きながら顔のすべてのパーツをギューっと真ん中に寄せます。あひる口にならないように、しっかり左右の口角を寄せるのがポイントです。

 

顔ヨガ「しゅわ〜の顔」をする間々田佳子

STEP2:「わ〜」と息を吐きながら目と口を大きく開きます。STEP1で縮めた筋肉を一気に解放するイメージです。

2.ムンクの顔 (ホウレイ線の解消、目の下のたるみむくみ解消)

顔ヨガ「ムンクの顔」をする間々田佳子

STEP1:口を「お」の字形にして、顔を下に伸ばします。鼻の下をしっかり伸ばすのがポイントです。

 

顔ヨガ「ムンクの顔」をする間々田佳子

STEP2:そのまま目線を上にします。目の下が伸びるように意識しましょう。

 

顔ヨガ「ムンクの顔」をする間々田佳子

STEP3:目線を上にしたまま、下のまぶたを持ち上げるようにします。目の下に力を入れて、上下に3〜5回行いましょう。

3.あっかんべー (毒素排出、デトックスのポーズ)

顔ヨガ「あっかんべ」をする間々田佳子

目を大きく見開き、鼻から大きく息を吸って、舌を根元から思いっきり下にベーっと出しながら「はぁ~っ」と息を吐き出します。息を吐ききったら舌を戻し、鼻から息を吸いましょう。

 

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プロフィール 間々田佳子(ままだ・よしこ)


顔ヨガ講師、タンゴダンサー兼講師。 2010年アルゼンチンタンゴダンス世界選手権アジア大会優勝。その時、身体は鍛えて引き締まっていたが顔だけ年齢相応に衰えたことに気づき、2010年、顔ヨガ講師資格取得。これまでに延べ2万人以上に指導している。テレビ、雑誌、新聞などのメディアや講演等でも活躍中。著書は『ずぼらさんでも大丈夫!ながら顔ヨガ』『間々田佳子の貼るだけ!シワとり顔ヨガテープ』など多数。新刊(2018年10月31発売)『間々田佳子の顔ヨガでV字上げ』。http://w-tango.com

文/田川志乃 撮影/masacova!  ヘア&メイク/広瀬あつこ