退職理由になりやすい「年間休日休暇数」を改善したかった
──働き方開拓には、月9日の公休+12日の生活価値拡充休暇=年間休日休暇120日が保証されている「生活価値拡充休暇」という制度があります。朝から晩まで店舗営業する形態の飲食業で、これだけ休日数が多い企業は珍しいですよね。
江澤さん:
そうですね、飲食業は土日祝日も稼働することが多く、カレンダー通りに休みにくい業種です。連休や長期休暇がなかなか取れません。私が退職面談で聞いた退職理由の多くも「仕事は好きだけど、時間が不規則で身体が休まらない」でした。そうすると、長く続けていくのがしんどくなっていくんです。
それに加えて、年齢を重ねると体力的問題もあります。弊社は平均年齢が30歳で、働く社員の7割が女性です。私自身も体力の衰えを感じますし、30代は結婚や出産でそれまでとはライフステージが変わる人も多いです。そうした年齢層がたくさん働く中で「ここでは働いていけない」と感じさせる雰囲気は、払拭しなければと思いました。
──確かに、キャリアアップとプライベートで大切な時期とのタイミングが重なり悩む女性は多いです。休日休暇の日数設定には、何か意味があるんですか?
江澤さん:
公休の目標である「月9日」には実は裏話があって…。かつては月8日を目標として掲げていたのですが、それが実現できていなかったんです。それならあえてもっと高い目標を掲げれば、月8日は取れるんじゃないかと(笑)。発表した時は「今でさえ8日休めていないのに、取れるわけない」と批判も出ました。でも100%はできなくても、「こうありたい」と近付こうとする努力が大事だと思うんです。実際2020年8月は公休利用率100%ですし、最近でも公休8日を切る人は一切いません。
年間休日休暇は、カレンダーの土日祝日を足すと大体120日になるので、その数字にこだわりました。実際に毎週土日に休むことは難しくても同じ休日数を保証することで、一般企業と制度面で対等な立場になりたかったこと、サポートセンターと呼んでいる本社勤務のメンバーと平等な休日数にしたかったのです。
──飲食業で全員公休が取れているのはすごいですね!ちなみに実際には皆さん、どんな使い方をされているんでしょうか。
高砂さん:
それぞれのライフスタイルに合わせて、みんな自由に取っていますよ。ママ社員だと、子どもの夏休みや冬休みの時期に合わせてまとめて取る人が多いですね。毎月の休日数を増やす社員もいますし、旅行料金が安くなる平日にまとめて取得して沖縄に行った社員もいます。