食堂車がほぼ全滅した後、鉄道旅行の食事サービスを担ってきたのが車内販売でした。しかし、長年親しまれてきた車内販売に異変が起きています。今回は車内販売の変化に伴う、親御さんの対策法を考えてみます。

さらに縮小?車内販売に関する最新ニュース

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近年、JRでは車内販売の取りやめが相次いでいます。今年に入り、JR東日本は新幹線・在来線特急列車の車内販売サービスの一部列車の終了と取り扱い品目の見直しを行いました。のあと「なお、車内販売の営業を中止する列車・区間であってもグランクラスサービスは継続されます。

 

まず、3月15日をもって、車内販売を取りやめた車両は以下のとおりです。

 

新幹線:はやぶさ(新青森~新函館北斗)、はやて(新青森~新函館北斗)、やまびこ、こまち(盛岡~秋田) 在来線:踊り子、日光・きぬがわ・スペーシアきぬがわ、草津、いなほ(酒田~秋田)

 

次に、取り扱い品目を見直す列車は以下のとおりです。

 

新幹線:はやぶさ(東京~新青森)、はやて(東京~新青森)、つばさ、こまち(東京~盛岡)、とき 在来線:あずさ、かいじ、ひたち、スーパービュー踊り子、いなほ(新潟~酒田)

 

取り扱い品目の縮小ではお弁当やサンドウイッチなどの軽食類の販売が中止になりました。一方、ドリンク類やお菓子の販売は継続されます。

 

ところが、新たに車内販売に関するニュースが。6月末日をもって、JR東日本はすべての車両でホットコーヒーの販売を取りやめました。ホットコーヒーが販売中止に追い込まれた背景には売れ残りの取り扱いと衛生管理の難しさが挙げられます。

 

すでにJR北海道の全特急列車や九州新幹線では車内販売が中止されています。「駅ナカ」と呼ばれる駅構内にある店舗の充実により、車内販売の売上は減る一方。また、JR北海道の場合は会社自体の経営の苦しさも背景にあります。いずれにせよ、今後も車内販売の縮小は止まらないでしょう。

車内販売に頼らず事前準備が大切

 

気のせいか、車内販売を実施している車両であっても、巡回の回数が減っているように思います。なので、子どもの食事や飲料水は車内販売で買おうとせず、あらかじめ準備をすることが大切。車内販売はあくまでも「緊急手段」と考えておきましょう。

 

食事、飲料水の事前準備でおすすめなのが「駅ナカ」を活用すること。主要駅ですとコンビニにあるような軽食だけでなく、豪華な駅弁も購入できます。しかも、駅弁の種類も豊富。駅が大きければ大きいほど、駅弁の種類も豊富なため、ターミナル駅で事前準備をしましょう。

 

特に旅行のオンシーズンは混み合うので、乗車60分前~30分前の間に「駅ナカ」を訪れると安心。お土産などいろいろ考えると、時間はあっという間に過ぎてしまいます。

 

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ひとつだけ気をつけたいのがホームにある売店。ホームで駅弁を購入できれば便利ですが、新幹線ホームであっても小さな店すらないことも。ホームにある売店を把握するのは難しいため、あまり期待しないほうがいいでしょう。

 

なお、新幹線には自動販売機が設置されていますが、在来線の特急の中には自動販売機すらない車両も。子どもの水分補給のために、飲み物は少し大きなサイズを購入したり、自宅から水筒を持参しましょう。

意外と必要なウエットティシュ

鉄道旅行において意外と便利なのがウエットティシュです。駅弁を購入すると小さなウエットティシュが付いてきます。やはり、食事前に手を拭くのと拭かないのでは大違い。食事後にテーブルをウエットティシュで拭くことで、次の人も気持ちよく使えます。ウエットティシュはティシュと比べると入手しにくいもの。旅行前に準備することをおすすめします。

車内販売は私鉄のほうが充実?

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このようにJRでは車内販売が縮小している一方、私鉄は健闘を見せています。近鉄特急では観光特急「しまかぜ」、観光特急「青の交響曲」、名阪特急「アーバンライナー」、「伊勢志摩ライナー」で車内販売を実施。ドリンク類だけでなく、お弁当も販売しています。また、観光特急「しまかぜ」ではカフェでの食事サービスもあります。

 

特急「ロマンスカー」で有名な小田急電鉄も車内販売は充実。季節限定メニューも用意されており、観光気分を盛り上げてくれます。特急列車の車内販売に関する詳細は各社のホームページをご覧ください。会社によっては子ども向けのメニューが用意されています。

 

家族旅行の前は改めて、鉄道各社のHPなどを確認し、楽しい親子旅をお過ごしください。

 

文・撮影/新田浩之