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今回は鉄道が山などの傾斜を登る上での動き方について解説します。長期休暇で親子旅に行く際などは、この記事を参考に、ぜひ鉄道の動きもチェックしてみてください!

スイッチバックとは?鉄道は方向転換がポイント!

まず一般的なのがスイッチバックです。スイッチバックとは鉄道が急斜面を登るために、ジグザクに敷かれた路線のことを指します。二つの線路を分岐器で接続し、その接続点で折り返し運転ができるようになっています。 ただし、スイッチバックと一言で表現しても様々な形態があり、一般的に「通過不可能形」「通過可能形」「可能形」の3類型に分類されます。

通過不可能形

この中で最も数が少ないのは通過不可能形です。通過不可能形はスイッチバックを設置している駅・信号所で必ず方向転換をしなければならない形態を指します。通過不可能形を採用している駅は以下のとおりです。

 

出雲坂根駅(島根県:JR木次線) 立野駅(熊本県:JR豊肥本線) 大畑駅(熊本県:JR肥薩線) 真幸駅(宮崎県:JR肥薩線)

 

どの駅も日本屈指のローカル線であり、周辺には急斜面があるため、この方式を採用しています。通過不可能形は数が少ないため、観光名所にもなっているよう。時間があれば途中下車するのもいいでしょう。

通過可能形

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絶対にスイッチバックしないといけない通過不可能形に対し、通過可能形は「スイッチバックを有する駅・信号所に用がなければ折り返し運転をしなくても構わない」という形態です。通過可能形が採用された理由として、特急列車などの優等列車がローカル駅を通過できる点が挙げられます。通過可能形を有する駅・信号所は以下のとおりです。

 

姨捨駅(長野県:JR篠ノ井線) 桑ノ原信号所(長野県:JR篠ノ井線) 初狩駅(山梨県:JR中央本線) 二本木駅(新潟県:えちごトキめき鉄道) 鐘釣駅(富山県:黒部峡谷鉄道) 滝山信号所(鳥取県:JR山陰本線) 坪尻駅(徳島県:JR土讃線) 新改駅(高知県:JR土讃線)

 

このうち、滝山信号所は2019年5月現在、列車交換が行われていないため、スイッチバックは使われていません。通過可能形のスイッチバックは主に優等列車が走っている(走っていた)幹線に設置されています。そのため、特急列車に乗っているとスイッチバックの存在に気づかない場合がほとんど。スイッチバックを楽しみたい人は直近の駅で普通列車にお乗り換えください。

折り返し形

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折り返し形は先ほどの通過不可能形、通過可能形と比べると、性格が異なるスイッチバックです。駅・信号所で単に折り返す路線を指し、地方だけでなく都会でも見られます。折り返し形が採用される背景には急勾配の緩和と路線の成り立ちが挙げられます。都会にある折り返し方は後者のケースが多いです。また、ヨーロッパのターミナル駅でも折り返し形が見られます。

スイッチバックは全体的に減少傾向

残念ながら、全体的にスイッチバックは減少傾向にあります。今後、現状維持はあっても、新規にスイッチバックが設置されることはないでしょう。 スイッチバックは短距離で急斜面を登ることができますが、数々の欠点を抱えています。

 

まず、いちいち方向転換をする必要があり、所要時間が伸びます。また、スイッチバックが設置している駅・停留所の地理的条件を考慮した上で、列車の両数を考えないといけません。このように、スイッチバックは列車ダイヤに縛りをかける要因となっています。

グルグル回るループ線 

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スイッチバックとは別に急勾配を緩和する方法としてループ線が挙げられます。ループ線は旋回しながら徐々に傾斜を登ることで、勾配を緩やかにする方法。急斜面をジグザグに短距離で登るスイッチバックとは真逆の発想と言っていいかもしれません。また、新交通システムを中心に折り返し線としてループ線を用いられることもあります。 急勾配を緩和するために設置されているループ線は以下のとおりです。

 

JR上越線:越中中里駅→土樽駅(上り線)複線 JR上越線:土合駅→湯檜曽駅(上り線)複線 JR北陸本線:敦賀駅→新疋田駅(上り線)複線 土佐くろしお鉄道中村線:若井駅~川奥信号所~荷稲駅 単線 JR肥薩線:人吉駅~大畑駅~矢岳駅 単線 ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線:芝浦ふ頭駅~お台場海浜公園駅 複線

 

ループ線はスイッチバックと異なり、乗車時はよほど意識しないとわかりません。正直なところ、写真やYouTubeの動画を見たほうがピンと来ると思います。 ところで、JR肥薩線の人吉駅~大畑駅~矢岳駅間は唯一のスイッチバックとループ線が同時に楽しめる路線です。同線には観光列車仕様の特急「いさぶろう・しんぺい号」が運行されており、大畑駅と矢岳駅にも停車します。とても興味深い路線なので、鉄道好きの人はお見逃しなく。

 

文/新田浩之 ※本文の図はあくまで説明の補足に用いた参考図です