「この子を残して先に死ねない」悲壮感が消える瞬間

食品用トレー容器の製造・リサイクルを手掛けるエフピコグループ、その特例子会社であるエフピコダックス。重度の知的障がい者も正社員として働く同社に寄せる保護者の思いは大きく、重いものです。

 

「面接時や入社当初に、障がい者の親御さんからよく出るのが『この子を残して先に死ねない』という言葉です。モヤに包まれたような表情でいらっしゃる方がほとんどです」と岩井さんは言います。

 

ところが数年後、子どもが職場に定着し、社員旅行の送迎などで来た親たちに会うと、親同士で明るくママトークに花を咲かせるまでに変化しているのです。

 

「『お宅の息子さん、男前よね』『いやいや、お宅のお子さんこそ今風よ』なんて言い合って笑っている。面接時にあった悲壮感は、数年でさま変わりします。どんなにいい支援者がいて充実した福祉サービスがあってもずっと消えなかったモヤが、子どもが会社から、そして社会から必要とされていると実感できた瞬間に晴れる。子育てが終わった、と実感できるのでしょうね」