AIよりも障がい者の仕事ぶりが優秀な訳

知的障がいのある従業員にとって、会社は単なる職場ではありません。エフピコグループでは従業員同士、障がいの有無を超えて交流することを目的として、フロアホッケー活動を行っています。西田さんをはじめ、日ごろの練習や大会を心待ちにしている従業員も数多くいます。

 

「仕事も友情も、恋愛感情も挫折も、すべて会社で経験する。私たちが思う以上に、会社は彼らの人生においてボリュームの大きな場所なんです」

 

エフピコダックス株式会社
食品トレーに向き合う姿は真剣そのもの

毎年、春に開かれる会社の総会では、全員がスーツを着て参加し、1年間の業績報告や一人ひとりの来年の目標を発表します。業績が好調な年には「俺らのおかげや!」と、自信満々に叫ぶ従業員も。

 

「彼らの愛社精神、トレーに向ける愛はすごいですよ。スーパーに行ったらトレーの裏側を必ずチェックして、エフピコの文字を確認するほどです」と、岩井さんは頬を緩めます。

 

「会社やトレーへの愛は、仕事にも表れます。瞬間的な作業効率だけでみれば、健常者を1とした場合、障がい者は0.8かもしれない。でも、『自分の仕事に誇りを持ってる』『この会社が好き』という思いで取り組むトレーの選別作業は、精度の違いとして表れます。あれだけしんどい仕事を長時間、長期にわたって真剣に取り組める彼らに、会社としては感謝するばかりです。一時期、自動化などを踏まえて、AIを搭載した機械による選別も検討導入してみましたが、彼らの選別の精度には及びませんでした」

 

障がい者が当たり前に働いて生活し、納税して社会を支える。それが次の障がい者の道しるべになる──岩井さんの言葉は、力強く響きます。エフピコダックスで働く人たちの姿は、障がい者雇用の「あるべき姿」を確かに示し続けています。

 

取材・文:鷺島鈴香 写真:エフピコダックス株式会社