50歳で再び「専業主婦」に戻るための逆算

住谷杏奈
自分が使いたいと思えるものづくりにこだわっている

── 40代の今、見据えているゴールはどこにありますか。

 

住谷さん:実は、50代からはまた専業主婦に戻りたいと思っているんです。結婚した当初の、あの静かな生活にもう一度戻ってみたい。そのためには、もう一生働かなくてもいいくらい、今この瞬間を全力で稼ぎ切りたい。

 

実業家としての第一歩は、食べられる原料を使った固形石鹸でしたが、そこからアパレル、子ども服、補正下着、化粧品、健康食品、生活雑貨あらゆるオリジナル商品をプロデュースしました。昨年は開発に数年かかった粘膜ケアに着目したオリジナルブランドを発表し、デリケートゾーン専用のソープと全身の粘膜を潤わせる目的で作った飲む美容ゼリーを発売することができました。私のプロデュース人生の集大成として、今は全力を注いでいます。

 

やりたい仕事はすべてやらせてもらえました。今は穏やかな日常を取り戻すカウントダウンの最中です。でも、また新しいアイデアが降ってきたら、急にモチベーションが上がってしまうかもしれませんけどね(笑)。何事も決めつけず、柔軟に人生を楽しみたいと思っています。

 

 

1億円の赤字を「勉強代」と糧にし、エルメスのバッグではなく「株」を買う。その徹底して合理的な振る舞いは、明日を自力で切り拓くための、彼女なりの切実な「備え」でした。

 

「シワの数だけ素敵」という言葉に甘えず、全力で若さに抗いながら、50歳で再び「専業主婦」という原点へ戻るための逆算を始める。一度きりの人生を、誰にも手綱を渡さず、自分の意志で走り抜けようとする。そんな彼女の、どこまでも自分に正直な「引き際」の描き方に触れて、あなたなら人生の後半戦をどう描きますか。

 

取材・文:加藤文惠 写真:住谷杏奈