毎日、人が惨殺される悪夢を見ていた
── そのころ、毎日「悪夢」を見ていたそうですね。
西坂さん:はい。目の前で人が惨殺されて、ぐちゃぐちゃになる夢を、毎日です。つらすぎて、ずっと誰にも言えませんでした。「お前がおかしいんじゃないか」と思われるのが怖かったし、何より「自分よりもひどい虐待を受けてきた人はたくさんいる。自分はまだマシだ」と思い込んでいたからです。
ただ、地方の講演で支援事業をされている方と話した際に、自分の中にあるモヤモヤの正体にハッと気づいたんです。

── どんな気づきだったのですか?
西坂さん:普段は虐待について語らない方でしたが、僕たちの話を聞いて、ご自身の経験談を聞かせてくださったんです。そうしたら、僕と境遇がそっくりで。お父さんが暴力的で、お母さんが殴られている姿を見るのがとてもつらかったと。僕は、まるで自分の話を聞いている感覚になって。「俺、すげえつらかったじゃん」と気づけたんです。「お母さんが殺されるんじゃないか」「お母さんと離れ離れになるのでは」と毎日考える環境ってつらすぎるし、子どもにとってはストレスが半端ない。
── そのとき、悪夢は虐待の後遺症、トラウマかもしれないと。
西坂さん:僕はこれまで、虐待のトラウマを抱える方の大変さを見てきたので、まさか自分にトラウマがあるとは思ってもみなかった。それにようやく気づけたのが昨年末のことです。