「ヤングケアラー」という言葉が、救ってきた親を傷つける矛盾

── 近年「ヤングケアラー」という言葉が浸透しましたが、坂本さんはこの言葉に複雑な思いがあるそうですね。

 

坂本さん:経験談を語ることで、親が加害者と捉えられ、「親ガチャ失敗」「毒親」といった批判に繋がることがあります。でもヤングケアラーって、親が傷つく言葉でもある。僕の母も、子どもに負担をかけないよう頑張っていたはずなんです。それなのに、構図だけを見て断定されてしまったら、親はどんな気持ちになるか。

 

坂本拓
仕事をしながらこどもぴあの活動を行ってきた坂本さん。最近、精神保健福祉士として勤務していた施設を退職し、新たな道を模索し始めたそう

── そうですね…。事情を知らない他人から親を批難されると、つらく感じる子どももいると思います。親にとっても、子どもにとっても、傷つく状況が作り出されているように感じます。

 

坂本さん:まさにそれなんですよね。僕らはしんどい体験をしてきたけれど、親を悪者にしたいわけではない。僕はシングルマザーで必死に育ててくれた母をリスペクトしているし、生まれ変わっても母の子になりたい。親が嫌いでも憎んでいてもいい、思いは人それぞれでいい。ただ、子どもは子どもの立場で「割り切れない複雑な思い」を抱えていることは、知っておいてほしいです。