「リビングに落ちていた、血のついた包丁。それまで『子どもがいれば幸せ』と言っていた母の異変に、14歳の僕は、僕がしっかりしなきゃというスイッチが入ったんです」。母親がうつ病とパニック障害を発症し、多感な学生時代にヤングケアラーとなった坂本拓さん(35)。過呼吸で倒れる母の手を握り、不安を聞き続ける日々。みずからも不眠や自傷行為に陥りながら、周囲にはいっさい助けを求めませんでした。「カッコいい母」のイメージを守るために、みずから殻に閉じこもり、社会から孤立することを選んだ少年の後悔と葛藤を追います。