血のついた包丁と止まらない震え。14歳で直面した「母のSOS」

── 坂本さんが中学生のころにお母さんはうつ病と診断されていたけれど、知らされていたかったそうですね。

 

坂本さん:いつから病気になったのか…明確な境界線はありませんが、中2のときに決定的な事件がありました。ある日、母が義父と口論になり、リストカットをしたんです。様子を見に行くと、床には血のついた包丁が落ちていて、母が手首を止血していました。

 

幸い大事には至りませんでしたが、その日から母は別人のようになりました。仕事に行けなくなり、一日中家で寝ていることが増え、いつの間にか退職していました。それまで「子どもたちが私の幸せ」と言い切っていた母が、みずから命を絶とうとする。その事実は、14歳の僕にはあまりに重すぎる衝撃でした。でも、翌日以降も家族の誰もそのことに触れませんでした。答え合わせができないまま、家庭の中に重苦しい沈黙が流れることが多くなったんです。