音楽フェス帰りの車で交通事故。瀕死の大けがを負い
── 24歳で晴れて歯科医師になり、3年目。順風満帆だった26歳のときに人生が一変したそうですね。
鹿乃さん:2019年7月、音楽フェスの帰りも同乗していた車が居眠り運転で速度感知機に激突。車体は原形をとどめないほど大破しました。どうにかして事故を防げなかったのかという後悔の思いもありますが、運転者は軽傷ですみ、助手席にいた私が大きなケガを負ってしまって…。膵頭部(すいとうぶ)断裂、つまり膵臓がちぎれ、腰椎も骨折。肺や肝臓などあらゆる臓器を損傷し、ICU(集中治療室)へ緊急搬送されました。
── 手術は合計7回にも及びます。想像を絶する苦しみだったはずです。
鹿乃さん:退院まで3か月。ICUでは面会も制限されたうえ、その後も膵臓が損傷しているため、2か月間は腸に直接栄養を送る生活。水1杯すら口にできませんでした。ボロボロに痩せこけた私を見て、見舞いに来た友人がショックで泣き崩れるほど。普段はポジティブな私ですが、動かない足で天井を見つめ続ける毎日に、一時は「死にたい」という思いが頭をよぎりました。
その傍らで、入院中のお年寄りたちが「こんなご飯いらない」と拒否している。それぞれの事情や病状もあったと思いますが、私自身精神的な余裕がなく「なんて贅沢なことを…」と感じたりもしました。でもそれと同時に、「いや、こんなところで人生終われない。早く退院して自分の思うように生きたい」って強く思うようになりました。