母の嘆きを否定せず、寄り添う娘に救われた

── 希望を失ってしまわれたのですね。
岸田さん:落ち込んでいる私を、奈美が車いすで外に連れ出してくれたことがありました。よく出かけていた三宮で「ごはんを食べよう」ということになったのですが、車いすで入れるお店はなかなか見つかりません。人が多いから車いすでぶつかりそうになって、「すみません」「ごめんなさい」とふたりで謝ってばかりいました。
ようやく車いすで入れるお店で席についたとき、私は絶望して、泣きながら思わず、「もう無理、もう死にたい」と言ってしまいました。奈美は、自分が手術に同意したことで、私が下半身麻痺になってしまったことに胸を痛めていたんです。それなのに、なんてことを口にしてしまったんだろうと思いました。
でも、そのとき奈美は「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」と言ったんです。「そんなことを言わないで」と言われると思っていたから、びっくりしました。でも、その言葉を聞いて、私は「死にたくない」と思いました。
長男の良太がダウン症だとわかって絶望していたとき、夫が「ママが育てられないなら、育てなくてもいい」と言ってくれたことを、そのとき思い出しました。つらい気持ちを否定されずに、寄り添ってもらえたことで、私は救われたのだと思います。あとで奈美に話したら、「私、パパと同じことを言ったんだね」と笑っていました。ふたりは、本当によく似ているんですよね。