患者会を立ち上げ「記念日」も制定されて

── 2022年4月には「 NPO法人日本視神経脊髄炎患者会」を立ち上げたそう。どんな経緯があったのでしょうか?

 

坂井田さん:視神経脊髄炎は難病指定されている疾患です。ただ、「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13番)」として、別の疾患である「多発性硬化症」とひとまとめにされているんです。神経脊髄炎は、以前は多発性硬化症の亜種として考えられていました。けれど近年は研究が進み、まったく別の疾患とされています。こうしたなか、2020年6月に私がTwitter(現・X)で、私が何げなくつぶやいたひと言によって、状況が大きく動き出しました。

 

── どんなことをつぶやいたのでしょうか?

 

坂井田さん:当時、「世界多発性硬化症の日」はあったのですが、「視神経脊髄炎の日」はありませんでした。私が「どうして視神経脊髄炎の日はないの?」と、疑問を発信したところ、賛同してくれる人がたくさんいて。2021年から、最初の症例を報告したフランスの神経内科医・デビック医師の誕生日である10月24日が「視神経脊髄炎(NMOSD)の日」と制定されることになりました。

 

ちょうどそのころ、製薬会社の方と協働でいろいろな企画を検討し始めた時期でもありました。「あなたが中心になって視神経脊髄炎の患者会を立ち上げるべき」と背中を押してくれる人がいて。2021年10月、同じ病気や経験を持つ患者・家族が集まり、悩みや不安を共有する場として、患者会を立ち上げました。2022年には法人化して「NPO法人日本視神経脊髄炎患者会」となりました。あっという間のできごとでした。

 

2025年第2回国際NMOSDサミット時の写真

── 驚くほど短期間の間に、さまざまなことが起きたのですね。患者会を立ち上げたとき、どんな反響がありましたか?

 

坂井田さん:患者会キックオフでは、約100人が集まってくれました。「これまで視神経脊髄炎だけにフォーカスされる機会がなかったから、本当にありがたい」といった声をたくさんいただきました。

 

それまで「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13番)」と、まったく別の病気とひとまとめにされることで、視神経脊髄炎の患者さんは不都合が多かったんです。症状も治療法も違うのに、情報が混ざってしまったり、役所で理解してもらえず、手続きが進まなかったりする場合もあって…。患者会を立ち上げ、当事者の意見を聞くことで、さまざまな問題が可視化されたと思います。

 

今後は「視神経脊髄炎」をひとつの病気として認めてもらいたいとも願っています。そうすることで、患者さんが直面している問題が少しでも解決されるのではないかと考えています。日本国内の視神経脊髄炎患者数は約6500人と推計されています。2025年12月現在、患者会には397人の会員がいます。患者会では会員さんから会費をいただいていません。参加してくださる方に経済的な負担もかけたくないんです。

 

私はクリスチャンです。この活動は神様が見守り、計画を進めてくださると信じています。患者さんがいる限り、この活動を続けようと思っていて。活動費用の部分は、チャリティーコンサートなどでまかなうようにしています。

 

── 患者会ではどんな活動をしていますか?

 

坂井田さん:ピアサポート(患者同士が互いに支え合い、助け合う活動のこと)としては、患者たちで月に1回、オンラインで集まっています。毎回全国から20~30人が集まり、情報交換などをしています。また、「ひとりでも、その土地に仲間が住んでいたら、私たちが会いに行きます」という思いから、地方にも伺って、『みんなに会いに行く』という製薬会社との共催セミナーなどを今まで12都市15か所で開催したり、歌手としてチャリティーコンサートも全国で10回開催したりしています。希少な疾患のため、「初めて同じ病気の人と出会いました」と、言ってくれる方も少なくありません。