患者が孤立しないよう、寄り添いたい

── とても精力的に活動されているのが伝わります。

 

坂井田さん:視神経脊髄炎は再発と寛解を繰り返す病気で、「完治する」ことがまずないです。残念ながら、病気になる前の体に戻ることはあり得ないんです。でも、そのことを理解してもらうのが難しくて…。

 

これまで周囲の人たちから「早く治るといいね」などと言われることもありました。もちろんそれは、私を思いやってくれている言葉ではあるんです。でも、一生難病とつき合っていく事実は、簡単には伝わらないんだな…とも感じます。しかもこの病気は見た目からは元気そうに見え、なかなか周囲につらさが伝わりません。患者さんは痛みや苦しみを理解してもらえずに孤独を感じたり、社会生活を送る上で困難に直面したりすることも少なくないんです。

 

NPO法人日本視神経脊髄炎患者会では、「視神経脊髄炎が取り残されない社会~見えない痛みに耳を傾け隠れている弱さに手を差し伸べる~」というビジョンを掲げました。患者さんの見えない痛みや苦しみに寄り添っていきたいです。

 

── 坂井田さんご自身も当事者であるからこそ、できる活動だと感じます。

 

坂井田さん:難病になっても、人生は続きます。「病気だから」という理由で、「頑張りたい」「仕事や好きな活動をしたい」といった意欲や楽しみを閉ざされるのは悲しいことです。

 

私は2016年に発症してからしばらく寛解していたのですが、患者会の活動をほぼひとりで取り組んでいた2023年に再発。すると「頑張りすぎ。ストレスをかけない生活をしたほうがいい」と言う人もいて。視神経脊髄炎の再発原因はストレスも一因と言われているからで、気づかってくれるからこその言葉だと思います。先ほどもお伝えしましたが、もちろん私を心配してくれる気持ちはありがたいです。

 

でも、ストレスをためないようにと、何も行動しないで家に閉じこもっていたら、私たちの存在を社会に知ってもらうことはできません。私は視神経脊髄炎の存在を社会に知ってもらう活動を続けたい。そして、歌も歌い続けたいです。活動を続け、少しでも患者さんたちを取り巻く世界を明るく、希望を届けられたら…と思います。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/坂井田真実子