「オペラ歌手として復帰するのは100%ムリ」だと

坂井田真実子
ソプラノ歌手として、さまざまな舞台に立っていた

── 高熱が出てから、たった1日で体が動かなくなったということですか? 

 

坂井田さん:そうなんです。いま思えば、1か月前に微熱が出た時点で病院に行けばよかったと思います。私が意識を失っている間、家族は医師から「このまま命を落としてしまうかもしれない」とも言われたとのことで。目覚めた私も「一生、車いすの可能性があります。オペラ歌手として復帰するのは100%ムリだと思ってください」と宣告されました。

 

私がかかったのは「視神経脊髄炎」という疾患でした。これは、自己免疫が視神経や脊髄、脳を誤って攻撃してしまい、視力低下、手足のしびれ・麻痺、排泄障害などを引き起こす難病です。全国に約6500名の患者がいて、約9割が女性。30代後半〜40代に発症が多いとされています。この病気は完治せず、再発を繰り返しQOL値が落ちてしまいます。炎症が一気に広がると急速に症状が悪化するため、私のように「前日まで動けていたのに、翌日には下半身がまったく動かなくなる」というケースも珍しくありません。

 

しかもこの疾患は希少なため、医師でも知らない人が多いようです。診断がつくまで時間がかかることや、誤診になることも多いそうです。幸運なことに、入院した病院の医師が私の性別や年齢、MRI画像を見て、「視神経脊髄炎の可能性」に気づいてくれて、適切な治療をすぐに行うことができました。