気がつけば髪が真っ白に
── そのころ、白髪はどれくらいだったのでしょうか?
姫さん:最初は数本だったので抜いていたんですが、10本、20本とどんどん増えていって、気がついたら、後頭部や前髪の一部を除き、ほとんど真っ白でした。
── 20代で髪が白髪になったのは、ショックだったと思います。
姫さん:白髪になったこと、病気になったことが合わさって「なんで私だけこんなふうになってしまったんだろう」と思いつめて、生きる希望もないような状況でしたね。
でもそんなとき、音楽活動をしていた夫と出会ったんです。当時、私はつらい気持ちを詩に書き出していて、ふたりで音楽を作るようになりました。活動を通して絆が深まり、一緒に住むようになりました。食事やお風呂など日常生活を助けてくれて、今思うと介護に近い状況だったと思います。心から信頼できて、体調のことも白髪のこともなんでも話せる関係に本当に救われていましたね。
── 旦那さんが心の支えだったのですね。
姫さん:誰よりも頼れる存在でした。彼は白髪を染めるのも手伝ってくれていたんです。当時は発作の心配もあり美容院に行くのが難しくて、基本的にセルフカラーで月に一度は全体を染め、2週に1度ほどリタッチしていました。伸びて白髪が目立ってきたら帽子やウィッグで隠したり、そのころは今みたいに白髪用のマスカラがなかったので、まつ毛用のマスカラを使ってカバーしていました。
15年染め続けて頭皮が傷み…
── 白髪染めは何歳ごろまで続けたんでしょうか?
姫さん:40歳前後まで15年近くですね。最初はセルフでしたが、年々病気の症状も少しずつ回復して、シャンプー台に長く座っているのが不安なので、美容師さんに「シャンプーの時間を短くできないか」などと相談することで、美容室にも行けるようになっていきました。
でも長年カラーを続けてきたせいか頭皮が傷み、薬剤で顔の周りまでただれるようになってしまって。それで、美容師さんと「白髪染めができないなら、生えてくる黒髪をブリーチして白っぽい金髪にしてみよう」という話になったんです。頭皮に薬剤がつかないように髪の根元を少し浮かせてブリーチしてもらいました。
── ブリーチ後の姿を見たときはどんなお気持ちでしたか?
姫さん:めちゃくちゃ嫌でしたね…。自分がなりたくてなった髪色ではなかったし、「40代で金髪ってどうなの?」とも思って、何か月も鏡を見るのがつらかったです。
でも、あるとき受け止め方が変わった出来事がありました。そのころ、インスタグラムを始めて、自分のファッションや日常の様子の写真を投稿していたんですが、ある日、有志で集まって共通のハッシュタグで写真を投稿する「インスタミート」というイベントが開催されることを知りました。思いきって参加してみると、髪色が目立ったようで「写真を撮らせてください」といろんな方から声をかけられたんです。

それをきっかけにカメラ仲間が増えて、モデルとして撮影に誘われるようになりました。病気のこともあったので、近場で行ける範囲の撮影にだけ参加していた形でしたが。海辺など屋外の撮影だと髪が光に透けてきれいで、カメラマンのみなさんからとても好評だったんです。褒めてもらえたことで「この髪の毛も悪いものじゃないんだ」と思えてきて、私自身もどんどん好きになっていきました。