地毛の白髪で生きていくことを決めた
── 長年受け入れられなかった髪を好きになれたんですね。当時、カラーを入れてアレンジを楽しまれていたと聞きました。
姫さん:白だけだとそれはそれですごく派手なので、カーキやグレーの濃い色でメッシュを入れたり、春ならピンク、夏はブルーなど、季節ごとに毛先に色を入れたりして楽しんでいました。でも、インスタグラムでのコメントや買い物中にショップの店員さんから「何回ブリーチしたらそんなきれいな色になりますか?」と聞かれる機会がだんだんと増えてきたんです。本当は白髪なので言葉をにごして答えていて、後ろめたさを感じるようになっていました。
それで、地毛が白髪でも大丈夫な年代にも近づいていたので、50歳になったら地毛が白髪であることを告白しようと考えるようになりました。でも、結局1年前倒しで49歳のころにカミングアウトをすることにしたんです。
── どうしてでしょうか?
姫さん:そのとき、ちょうどコロナ禍になってしまって、人と会う機会や仲間と撮影する機会もなくなってしまったんですね。ブリーチもしなくなって、家でのトリートメントなどのケアもサボっていました。そのせいか、久しぶりに美容院に行ってブリーチをしたら、髪の毛が途中からごっそりと切れてしまって。美容師さんから「ブリーチはもう危険です」と言われました。
白髪染めもできない、ブリーチもできない、だったらもう白髪で生きていくしかない。そんな状況になってしまったんです。そこで、地毛の白髪で生きていく決心をしました。思いきって白髪であることをインスタグラムで打ち明けたところ、みなさんからは「素敵な髪色」「歳をとる楽しみができた」とたくさんのコメントをいただきました。それがひとつの転機となって、今の私の生き方や発信につながっています。
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予期せず地毛の白髪で生きていくことになった姫さん。今では「白髪も自分の一部」と思えるようになり、白髪にカラーを入れたり、髪色に合わせたファッションを楽しみながら発信を続けています。
取材・文/阿部祐子 写真提供/姫