週1日勤務でも会社にメリット 起業との組み合わせも

── 週休3日に対する理解を得にくい世代の方がいるとのことでしたが、企業が週休3日を導入することで得られるメリットはなんですか。

 

永井さん:会社を継続させるためには優秀な若い人材を確保し続ける必要があって、そのためには働き方の選択肢を広げ、働き方を柔軟にするということに尽きると思います。その結果、いい人材が集まり離職しにくさにも繋がって、結果として会社のためになるということを知ってほしいですね。

 

弊社で働いている20代の従業員は、就職の際に「週休3日で、自分のしたいことをしながら働けることに惹かれた」と言っていました。週休3日の働き方というのは、企業が今まで接点を持ち得なかった優秀な人材に出会うきっかけになると思います。また、特に子育て世代の方が土日で週休2日の場合、お子さんの学校もお休みなので、まるまる子育ての時間に取られてしまいますね。週にもう1日お休みがあれば、その人が大事にしたいことを使える時間が確保され、疲弊感なく仕事にも向き合えると思いますので、離職の選択肢が減っていきます。

 

永井社長の4姉妹
並んで足湯に入る永井社長の4姉妹

── 同じ職種や業種で仕事を探している人がいたら、休みが多い会社のほうが魅力的ですね。

 

永井さん:極端な話になりますが、私は優秀な人材には、週1日でもいいので働いていただいて、ライフステージやそのときの状況に応じながら柔軟に働き方を変えて、関係性を長く維持していくことが会社にとって有効だと思います。新たな人材を採用し続けることも大切ですが、それに加えて今、目の前にいる手放したくない優秀な人材との関係を維持することも、人口が減っている日本社会では今後、より重要視されていくのではないかと思っています。

 

── 週休3日を導入する際の注意点はありますか。

 

永井さん:働き方には大きく分けて、医療や介護など、職場にいることが前提で人にサービスを提供して価値を生み出すものと、企画や営業などアイデアや実績で成果を生み出すものの2通りがあると思います。それは同じ会社内であってもまったく違うものですので、しっかりとその方の働き方の分析や整理をして、労働時間や労働の質が価値なのか、はたまた成果や結果が価値なのか判断することから始めることが大切だと思います。

 

── 企業と週休3日制で働きたい方とのマッチングもしているそうですが、週休3日で働きたい方の理由にはどんなことが挙げられていますか。

 

永井さん:子育てや家事、介護のほか、推し活などの趣味に時間を使いたい方も多いです。結婚したばかりの方からは、パートナーとの時間をつくりたいという理由が聞かれましたし、勉強をしたいという理由も多いです。ひとそれぞれ人生で大切にしたいものは違いますので、理由によって休み方や働き方を判断するのは違うと思います。

 

高度経済成長で定着した「ひとつの会社で一生働き続ける」という終身雇用の価値観を持つ方は圧倒的に少なく、これから先の見通しが立ちにくい社会を生き抜くために投資の勉強をしたいとか、副業の時間に充てたいというのが20、30代の特徴です。私が今後進めたいと思っているのは、週休3日と起業の組み合わせです。起業してみたいけれど怖くて飛び込めないという方が、週4日働いて収入を得ながら新しいビジネスにチャレンジしてみて、うまくいきそうだったらやってみるという新しい起業の形を提案したいと思っています。