週休3日はあくまで手段でありゴールではない
── 永井さんが週休3日を社会に提案したい理由について教えてください。
永井さん:みなさんも心当たりがあるかと思いますが、ほかの方より早く仕事をあがる際、たとえ定時であったとしても「すみません。お先に失礼します」と声をかけますね。いったい、なぜ謝るのでしょう。休みがしっかり全員に確保されていれば、先に帰る際に謝る必要は本来ありません。勤務時間が短いことへの罪悪感というものが、日本社会にまだまだ根強いのだと思っています。
正社員は、週40時間勤務というイメージがある方も多いと思いますが、労働基準法では、原則として1日に8時間、週に40時間という上限が書かれているだけで、労働時間は明確に定められていません。実は週20時間勤務であっても、正社員として働くことは可能です。固定観念を捨てて、働き方の再定義することを提案できたらいいなという思いから、週休3日を提案しています。依頼をしてくださる企業さんには、週休3日を導入することが目的になってしまうのではなく、あくまで手段だと思っていただきたいと思っています。
── 週休3日の実現がなぜゴールではないのでしょうか。
永井さん:仕事と子育ての両立や趣味に時間を費やしてしっかりリフレッシュする、副業の勉強をするなど、休みを週に1日増やすことで、従業員が仕事以外の何らかの目的を達成するために週休3日の働き方に関心があるということを理解して、導入していただきたいと思います。
週に3日休むことがゴールになってしまうと、たとえば子育てに時間を使いたいと考えて週休3日にした方が、会社から「もっと仕事に集中してくれないか。週休3日だからいいだろう?」と相談されることが起きてしまうケースもあります。まるで笑い話ですが、手段とゴールが理解できていないと、あり得ないことが簡単に起きてしまうのです。週休3日をしっかりと確立させるためには、働く方の目的は何で、何を達成するための休みなのかをきちんと整理していただくと継続しやすいと思います。
取材・文/内橋明日香 写真提供/永井宏明