前澤友作さんの100万円プロジェクトで海外に
── その後、世界各地の砂場を見に行ったとうかがいました。
どろだんご先生:2019年の年始に前澤友作さんが、100人に100万円をプレゼントする総額1億円のお年玉プロジェクトをスタートしたのを見つけて、Twitter(現:X)で「砂場の研究に使いたいです」という旨を投稿したんです。そしたら、前澤さんご本人から「信じられないかもしれませんが本人です。当選です。僕も久しぶりに砂場で遊びたいなー」というメッセージをいただきました。最初は文献の購入費に使おうと思っていたのですが、100万円を何かもっと可能性があることに使いたいと、自分の目でヨーロッパの砂場を見にいくことにしました。

保育園の立ち上げの際に出会った保育学科の大学教授が、「砂場の起源はドイツではないか」という話をされていて、私自身、デンマーク製の砂場道具は握りやすさや使いやすさの点で、本当によく作られているなと感じることが多くありました。日本の砂場では、割れたプラスチックのスコップの破片を見ることがありましたが、夏の間、白夜で太陽が沈まない現象が起きる北欧では、太陽光で劣化して割れてしまわないよう、砂場のスコップもシリコンが含まれた素材で作られています。こういった道具が生まれる背景や砂場をこの目で見てたしかめたいと思い、ヨーロッパに飛び立ちました。もちろん、砂場マップなんてものはないので、Google mapや公園を練り歩いて地道に砂場を探しました。
── 現地の保育園などにも見学に行ったそうですね。
どろだんご先生:そうなんです。でも、誰でも利用できる公園とは違って、突然やってきた見ず知らずの人をいきなり子どもたちがいる保育園に入れてくれるはずがありません。SNSを駆使して、まずは現地の方と知り合いになり、事情を話して家に泊めていただくことから始めました。お子さんの保育園の送迎を一緒にして、保育園の砂場を見せていただけるよう交渉しました。