「そんな中途半端な気持ちで治療がうまくいくはずない」

── それほど本気で取り組んでいたのに、とある医師からラジオの生放送で午前中に来院できないことを「そんな中途半端な気持ちで治療がうまくいくはずない」と責められたことがあったと本に書かれていました。不妊治療に関わる医師にそういう発言をする方がいるとは…。

 

4年に及んだ不妊治療の記録

住吉さん:世の中にいろんな人がいるように、医師にもいろんな人がいるんだなぁ、と。全面的に気持ちに寄り添ってくださる医師もいるし、感情より理論で生きているタイプもいるじゃないですか。その言葉をかけてきた医師は、後者の理論で生きるタイプなんだろうな、と。患者の気持ちを理解したくないというより、そこに思いが至らない。理論のなかで生きているので、「いや、仕事は当然休むべきでしょう」と率直に言っただけなんだろう、と今は思っています。

 

── たとえば、不妊治療のためにラジオの生放送を一時お休みする、といった選択肢も考えられたのでしょうか。

 

住吉さん:休むことで妊娠できそうだったら、そういう選択肢もあったかもしれません。でも、当時はそもそも治療がうまくいっていなかったし、あまりにも確証がないじゃないですか。フリーランスですし、休んだら仕事を失ってしまうのでは、という怖さもありました。私にとって、仕事を続けるということは、妊娠と同じくらい大切なことだったんです。

 

── 現在は不妊治療の費用も保険適用でまかなえる部分がありますが、当時はすべて自費診療でしたよね。金銭的な負担も大きかったのでは?

 

住吉さん:結構な金額をかけたと思います。私があまりにも数字が苦手なのと、計算して総額を出してしまうと自分でもショックを受けそうなので、計算しないようにしていましたが。金銭的な意味で、治療を続けるために働き続けないと…という思いもありました。