コロナ禍でうつ状態…貯金数万円も「自分の店を開けるかも?」
── そこからどう気持ちを立て直したのでしょうか。
大澤さん:あるとき、何度か取材してくれた知り合いの編集者が食事に誘ってくれたのですが、その彼に「自分でお店をやらないんですか?」って言われたんです。そのときは、貯金は数万円でニートだったし、無理だろと思いました。トラックの運転手でもやろうかと思っていたほどだったし。でも、「クラウドファンディングでお金を集められる」とアイデアをもらい、あらためて考えてみたら、相当限られた条件ではあるけど、できるなって思ったんです。そこから立ち直り始めましたね。自分のアイデンティや自信につながる部分がなくなっている状態だったけど、もう一度お店をやろうと考えたら、元気が出てきました。
── よく実現できましたね。貯金数万円というのもなかなか(笑)。
大澤さん:ビリヤニハウスでは、1回30人前ぐらい作っていたんですが、告知して参加者を募集したら秒で枠が埋まるくらい人気で、それが10年続いていました。30人の枠が一瞬で埋まるってことは、実際に来たかった人は100人以上いるはず。そうすると潜在顧客は1000人くらいはいるんじゃないかと予想したんです。結局、スタートして24時間くらいで目標額に到達しました。そのときに支援してくれたのはやっぱり、ビリヤニハウスに来てくれた人たち。実際の支援者は900人ぐらいで、平均支援は1万5000円ほどでした。
── じゃ、ほぼ借金をせずに店をオープンさせたんですか?
大澤さん:実は借金しまくったんです。やるなら徹底的にやりたいと思ったので。ビリヤニって、人口14億人のインドのフードデリバリーで10年連続1位。パキスタンとバングラデシュの4億人にもぶっちぎりの人気があります。日本で言えば、お寿司と焼肉をたしたぐらい人気がある。だから、「インドにビリヤニっていうチャーハンみたいな料理あるよね」という立ち位置になるのは違うなと。ビリヤニの可能性を世の中に伝えるという使命感があるから、お店はきっちり作ろうと思っていました。