入浴剤を使うと感じる“ぬめり”はどうすればいいか
── 他にも、保温効果を高める方法はあるのでしょうか。
松永さん:入浴剤を使うこともお勧めです。ぬるめのお風呂が好きな方には炭酸・水素系の入浴剤はとくに効果的です。
38〜39度がベストで、それ以上の温度だと炭酸が抜けてしまいがちだからです。体にプツプツと気泡がついて、とくに水素系は分子レベルが細かいので皮下吸収していきます。
皮下吸収によって体の生理反応で異物の進入を感知して押し返そうとする。このときに、血管が拡張するので、体が温まりやすくなるのです。
── じつは入浴剤を使ったあとヌルヌルする感じが嫌ではないんですが…洗い流すべきでしょうか。
松永さん:天然成分のものなら洗い流す必要はありません。硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムが入っているものが多いのですが、ナトリウムはつまり食塩の成分の一部。
塩が皮膚のタンパク質と結合して膜をはったような状態になります。それで保温・保湿してくれるわけです。酸性の入浴剤や“ぬめって気持ち悪い”感覚があるなら、洗い流してください。
── なんと!仰るように膜がはってある感覚です。それで問題ないなら安心です。教えていただいた方法を守れば健康的に過ごせそうです。
松永さん:あとは、湯冷めをしないようにお風呂を出た後も気をつけましょう。基本的な話ですが、体に水滴がついていると体が冷えてくるので、体や髪の毛はすぐに拭いて乾かします。
また、足元からの冷え防止で薄手の靴下か吸水性のあるスリッパを履くといいですね。体の中を温める意味では白湯などを飲むのも大事です。
あとはボディクリームを塗ることです。体からの放熱を防いでくれるので効果的です。
── お話ありがとうございました。これからは環境を整えてわが家のお風呂をつねに極楽空間にしたいと思います。
PROFILE 松永武さん
お風呂のソムリエ。バスリエ株式会社代表。お風呂が好きすぎて脱サラ!5万点以上を試したバスグッズマニア。構想10年!極上のサウナ体験ができるテーマパーク、サーマルクライムスタジオを静岡県にオープン!
取材・文/西村智宏