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どこか旅行をするなら混雑する時期を避けて楽しみたい。新たな有給休暇を使うことなく、まとまった休暇を自分の都合に合わせて取れる制度があります。ワークスアプリケーションズ・グループの「フレックス休暇制度」です。

 

自由度の高い休暇制度はなぜ生まれたのか、実際にはどう活用されているのか、株式会社ワークスアプリケーションズ グループ人事統括本部の平山俊大さんと杉山理恵さんに話を伺いました。

人事統括本部の平山俊大さんと杉山理恵さん
グループ人事統括本部の平山俊大さん(左)と杉山理恵さん(右)

海外で働く社員に生まれた「働きづらさ」がきっかけ

── 「フレックス休暇制度」は最近耳にするようになりましたが、ワークスアプリケーションズではどんな特徴があるか教えてください。

 

平山さん:
土日祝日及び年末年始の日数と、所定休日105日(うるう年は106日)の差の日数分について、個人の裁量で休暇日を変更できる制度です。祝日に出勤し、平日に休みを取るという選択ができるため、混雑する連休を避けて平日に旅行をする社員もいます。

 

── 平日に休暇が取れるのはリフレッシュ効果も大きそうですね。なぜフレックス休暇制度を始めたのでしょうか。

 

平山さん:
理由としては、シンガポール、インド、上海に海外子会社があることが大きいです。日本と海外間の連携事業がとても頻繁に行われているんです。また、以前からグローバル採用を積極的に行っているので、現在は国内外合わせて約19か国籍の社員が勤務をしています。自国以外で働く社員もたくさんいます。

 

こうした状況で社員は働いているのですが、あるとき、2つの課題を解決する必要性に迫られました。1つ目は、海外拠点と国内拠点で開発業務を進めるとき、日本と海外の祝祭日制度や正月など長期休暇のタイミングが異なってしまうために、スケジュール調整に苦労することが増えたんです。そうすると必然的に業務もスムーズに進まなくなる事態が起きます。

 

2つ目は、日本のオフィスに勤務する外国籍社員が、自分の出身国での日本のお盆や正月のような長期休暇のタイミングに合わせて帰国をしたくても、日本の時期とは異なるため、希望するタイミングで帰国することができないということも発生しました。海外で働く日本国籍社員も同じことで働きづらさを感じるようになってしまったんです。

 

特に、1つ目の長期休暇のタイミングが異なることでスケジュール調整や業務に支障が出ることが大きな課題となって、開発部門から「改善したい」という声が多く寄せられました。そこで、各国の祝祭日を別日に移行できるフレックス休暇制度がつくられたという経緯があります。

有給と合わせて長期休暇を楽しむ社員も

── グローバル展開する企業だからこその悩みから生まれた制度なんですね。出勤日と休暇日はどんなふうに管理しているのですか?また、何か課題は生まれましたか?

 

杉山さん:
制度に合わせて勤怠システムを改修することが大変でした。ただ、社員が使いやすい申請方法にすることを重視して、なんとか形にすることができたんです。

 

具体的には、祝祭日にデフォルトでフレックス休暇を付与して、休暇日を変更したい場合だけ勤怠管理システムからフレックス休暇の取得日変更の申請を行うだけで簡単に制度利用できるようにしました。

子どもとの時間を楽しむワークスアプリケーションズの女性社員
子どもとの時間を楽しむ社員

── 約19か国籍もの人たちが働く環境で、休暇がそれぞれ自由に変更されることで業務に支障は出ないのでしょうか。

 

平山さん:
いいえ。祝日に働く社員もいる状況が生まれて、会社としては平日祝日関係なく業務が動き、海外との連携もよりスムーズになりました。また、グローバルに働く社員は、故郷の休みに合わせて帰国することができるようになり、それまでよりも休暇を楽しめるようになったそうです。

 

また、予想外の効果も生まれました。たとえば、連休日を避けて、平日に休むことで混雑のない休暇を楽しめるようになったという社員が増えたんです。また、有給と組み合わせて、長期休暇を取得することもできるようになりました。

 

個人のペースで出勤か休暇を設定できるため、業務のモチベーションを維持できたり、また生産性の向上にもつながったり、仕事への良い影響も生まれています。子育て中の社員は、子どもの都合で平日休暇を利用したい場合、有給休暇だけでなく、フレックス休暇制度も利用できるようになったため休みが取りやすくなったそうです。