横山さんがハマった「マイホーム購入の落とし穴」とは?

 じつは、まさにこの「マイホーム購入の落とし穴」にハマってしまったのが、私です。私たち夫婦は20代の時に結婚し、2627歳の頃に、札幌にマイホームを買いました。

 

ところが、ファイナンシャルプランナーとして独立後、東京での仕事が増えたことから、30代後半に東京に引っ越すことに。

 

札幌のマイホームは5年前に売却したのですが、厳しい現実を見ることになりました。頭金なしのフルローンで買ったので、売却した金額だけでは住宅ローンが完済できず、残債が非常に多い状況に。

 

結局、追加で払った金額は数百万円。札幌に住んでいた時、月々の住宅ローン返済額は1213万円でしたが、追加で払った金額を乗せたら。なんと月35万円の家賃を払っている計算に。東京ではなく、不動産価格の安い札幌でこれは大きな痛手です。

 

また、購入当時は子どもがまだ2人でしたが、いまは6人いて8人家族になりました。そのまま札幌の家に住んでいても、確実に手狭になっていたでしょう。仮に引っ越さなかったとしても、マイホームの購入は失敗だったわけです。

 

この反省を生かして、横山家は、東京に越してから、一軒家の賃貸物件に住んでいます。

 

「子どもがうるさい」から家を買うのはダメ

 このように、私は高い授業料を支払わされてしまいました。相談者の方には私と同じ目にあってほしくないので、「あせって買わないほうがいい」とお伝えしているわけです。

 

今後は、新型コロナウイルスの影響で、不動産価格が下がる可能性もありますし、ご自身の仕事にも何らかの影響が出るかもしれません。それを考えれば、今は様子見をするのが得策です。

 

それでもマイホームが欲しいという人に理由を聞くと、「子どもの夜泣きがうるさくて近所の目が気になる。防音性能の高い家に住みたい」と言う人がいます。

 

その気持ちはわかりますが、買ったからといって一件落着とは限りません。隣に住む人が子供嫌いの可能性はあるからです。それなら、賃貸物件で防音性に優れた物件を見つけるのも手です。

 

どうしても欲しいというなら、住宅ローンの利払いを極力抑えるために、頭金をためてから買うことをおすすめします。いくら最近は低金利だといっても、フルローンで買うと、数百万円単位で支払いが増えてしまいます。不透明な未来に備えて、余計な支払いを増やさないようにしましょう。

 

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ