快眠体質を手に入れる「セロ活」「オキ活」って?

 ——食事でセロトニンを作れる条件ってあるんでしょうか?

 

西川さん:

たんぱく質に含まれるトリプトファンとビタミンB6、そして炭水化物を組み合わせた食事を摂ることがセロトニンを作る前提条件です。忙しい方は、具だくさんの味噌汁(例えば、肉や魚、卵などのタンパク質が入ったもの)に、白米でもOKです。白米をビタミンB6が豊富な玄米や雑穀米に変えればさらに完璧です!3食どのタイミングで食べてもOKですが、1日最低1食と考えると家族が揃う朝食がいいですね。

 

これらをセロトニンが作られる日中、特に朝ごはんで食べればセロトニンが分泌され、深い睡眠を手に入れることができます。しかし、朝は全然時間がないという方は、これらの栄養素がすべて含まれたバナナを食べることからはじめてください。朝食は体内時計をリセットして1日を元気にスタートする活力の源でもあるので、抜くのだけは絶対に避けましょう。

 

また、セロトニンと合わせて注目したいのが、オキシトシンというホルモンです。オキシトシンは抱擁や親愛のホルモンとも呼ばれ、ストレスを緩和させてくれる効果があります。オキシトシンが増えると自動的にセロトニンも分泌されることがわかっており、オキシトシンが増加→セロトニン増加→メラトニン増加(セロトニンがメラトニンに変化)という流れで、快眠をサポートしてくれます。

 

——オキシトシンはどうしたら増やすことができますか?

 

西川さん:

オキシトシンは、親しい人と会話をしたり触れ合ったりすることで分泌されます。気が合う同僚や友人と一緒におしゃべりをしながらランチを食べたり、オンラインや電話で話をするだけでも構いません。家族団欒の時間を意識的に持つようにするといいですね。ペットを可愛がるのもオススメです。心地よいと感じてから5分が経過した頃にオキシトシンの分泌が始まります。

 

 

こうしたセロトニンとオキシトシンを分泌する行動は「セロ活」「オキ活」と呼ばれ、私は毎日、意識的にたくさん取り入れるようにしています。ここで紹介したことをすべてやる必要はないので、自分のライフスタイルに合わせ、できることからぜひトライしてみてください。

 

皆さんも、日中の「セロ活&オキ活」で、ぐっすり睡眠を手に入れましょう。次回は睡眠のために欠かすことができないパジャマ選びのポイントや、快眠のための環境づくりなど、寝る前のアレコレについて紹介していきます。

 

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PROFILE 西川ユカコさん

昭和西川株式会社 代表取締役副社長。睡眠サービスコンソーシアム理事。睡眠改善インストラクター、セロトニントレーナー、温泉入浴指導員。学習院大学卒業後、ハースト婦人画報社に10年間勤務。その後、家業である昭和西川に転職し、企画部門や管理部門を経験した後、現職。世界中の科学的データを参考にしながら、自身を実験台にしてあらゆる快眠法を検証し、睡眠に対する幅広い見識に信頼が寄せられる。著書に「世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった  最強の睡眠」(SBクリエイティブ)。「東洋経済オンライン」で睡眠記事を連載中。

 

文/上野真依 イラスト/小幡彩貴