「社会全体で子どもを育てていく風土をつくりたい―」 そんな思いで活動している「みらい子育て全国ネットワーク」(みらこ)の代表・天野妙さん。前編「
いつまで続く?待機児童問題 『おかしいと思うことを飲み込まないで』」に続き、男性が家事・育児に担うことの重要性などについて聞きました。
産休義務化で男性の「家庭進出」を
先日、自民党の有志議員が男性の育休取得を進めるための方策を考える議員連盟を発足させるという報道がありました。
天野さんは、男性の産休・育休について考えるイベントを開催したり、男性の産休義務化を訴えるなど、「男性の家庭進出」の必要性を強調されています。どういった背景があるのでしょうか?
天野さん
6歳未満の子どもを持つ夫婦の家事・育児時間を比べると、妻は夫の7倍時間を使っています。イクメンなどが話題にはなっていますが、ほとんど家事育児をしない男性は妻の就労に関係なく7割もいるのが現状です。 この女性に負担が行きがちな状況を変えていきたい。 ただ、家事や子育ては想像以上にやらなければいけないことが多いし大変だけれど、仕事で家にいなければ、まず「to do」が分かりません。それを学ぶための産休という意味合いがあります。 男性が産休を取ることで、何をやらなければいけないかを知ることができる。それがパラダイムチェンジのきっかけになると思っています。 また、夫が家事や育児を担う時間が増えるほど第2子以降の出生率が高くなるという調査結果もあります。 少子化を食い止めるためにも、男性が産休を取って「家庭進出」することは重要だと考えています。
若い世代を中心に、男性も家事・育児を担って当然という考え方が広まってきているとは思いますが、産休・育休を取ることでより大きく意識が変わりそうですね。
出産に合わせて休みを取りたいと思っても、周りに配慮して取得できない男性も多いのでしょうか?
天野さん
男性で育児休業を取得した人は2017年度で5.14%という少なさで、しかもそのうち6割近くが5日未満。 一方、育児休業を取得したかったが取得できなかったという人は45.5%もいるという調査もあり、思うように育児に参加できない男性がかなりの数いるということになります。 「義務化」というパワーワードを使っているのは、まずは男性で産休・育休を取る人がマジョリティーになることが大切だと思うからなんです。 今は5割近くの人が育休を取りたいと思っても取れない状況です。産休・育休の取得が多数派になって文化として根付かなければ、取得するかどうかを本当の意味で「選択」することはできません。なので今は、「義務」という言葉を使って世論を喚起したいと思っています。