突然ですが「みどりの窓口」という言葉を聞いたことはありますか。手っ取り早く書くなら「みどりの窓口」とはJRの駅にある長距離列車の切符が購入できるところ。長年、多くの人々に親しまれてきましたが、5月からの令和時代になると「みどりの窓口」も過去のものになるかもしれません。今回はあまり注目されることがない「みどりの窓口」にスポットを当ててみました。

そもそも「みどりの窓口」とは

 

先ほど「みどりの窓口」の大雑把な説明を書きましたが、実際はJR線の切符以外も取り扱っています。まず、鉄道ですとJRが乗り入れる一部の第三セクターの切符が購入できます。一方、東急電鉄や近畿日本鉄道などの私鉄の切符は基本的に購入できません。

 

また、一部の「みどりの窓口」ではJR高速バスやツアーバスも取り扱っています。Eチケットが現在のように普及していなかった時代は航空券もたくさん売りさばいていたとか。「みどりの窓口」は町の旅行センターのような役割を果たしていたのです。

 

そもそも、「みどりの窓口」はいつ開設されたのでしょうか。 「みどりの窓口」は旧国鉄時代の1960年代にスタートしました。当初はターミナル駅のみの開設でしたが、やがて地方の主要駅や大都市圏の駅にも開設されました。紙の時刻表にある鉄道路線図を見ると、一部の駅が緑色にマークされていることがわかります。それこそが「みどりの窓口」の開設駅です。

 

筆者も子どものとき(1990年代)は新幹線などの長距離切符を購入するときは「みどりの窓口」に並んだものです。最寄りの駅はそれほど大きくありませんでしたが、当時はインターネットが各家庭に普及していなかったので、オンシーズンになると長い行列ができていました。

どうやって「みどりの窓口」で切符が発行されるのか

「みどりの窓口」に行くと駅員さんが、慣れた手つきでタッチパネルを操作し、切符を発行します。「みどりの窓口」にはマルスと呼ばれる機械があり、東京にある中央コンピュータが一括管理しています。したがって、指定席やグリーン車のダブルブッキングが起こることはありえません。

 

マルスは旧国鉄が開発したシステムなので、個人客がマルスを購入して切符を発行することはできません。筆者は中学生のとき、職業体験でマルスを操作して切符を発行したことがあります。意外と操作は簡単で、数分で切符がマルスから出たときは感動しました。15年以上も前の話なので、現在のマルスはより高性能で操作しやすいものになっているのでしょうが。

えっ!「みどりの窓口」がなくなる?

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昭和、平成と鉄道旅行に欠かせない存在であった「みどりの窓口」。しかし、令和になると、「みどりの窓口」が過去帳になるかもしれません。そもそも、JR東海では「みどりの窓口」という呼称をやめ「JR全線きっぷうりば」に変更しています。

 

「みどりの窓口」に代わって登場しているのが高機能の自動券売機です。従来、JRの駅には自動販売機が設置されていましたが、近郊区間しか取り扱いがなく、特急券や指定席券を購入することはできませんでした。高機能の自動販売機では特急券や指定席券だけでなく、青春18きっぷなどの企画切符を購入することも可能。また、現金のみならずクレジットカードも使えます。最初は操作に慣れないかもしれませんが、丁寧にタッチパネルを操作すると切符が発行されます。慌てないためにも、購入時間には余裕を持たせましょう。

 

今後、JR西日本では高機能自動販売機「みどりの券売機プラス」を設け、順次「みどりの窓口」を廃止する方針です。最終的には約30駅にしか残さないとか。これらの施策は来るべき人口減少社会を見越していることは間違いないでしょう。 また、長距離切符の購入も大きく変化しようとしています。JR各社ではインターネットで切符が購入できるサービスを用意しています。海外の鉄道では航空券のようなEチケットが当たり前。日本でも海外のようなシステムになるのではないでしょうか。

子どもが「みどりの窓口」で切符を購入するときは準備が大切

とはいっても、まだまだ「みどりの窓口」が健在なのも事実です。子どもが「みどりの窓口」で切符を購入するときは事前の準備が何よりも大切。乗車日、乗車する列車、乗車する席(自由席か指定席か)をあらかじめメモにするとスムーズに購入できます。「みどりの窓口」の付近に特急券、指定席券のリクエスト用紙を設けているところもあります。リクエスト用紙がある場合はメモをそのまま写せばOKです。

 

わからないことがあれば、駅員に積極的に質問しましょう。なお、オンシーズンは混雑することが予想されます。切符の購入はなるべくお早めに。オンシーズンの場合は土休日の午前中は空いていることが多いです。

 

文・撮影/新田浩之