今日は列車本数のお話をします。あなたの近くを走る路線には1時間に何本の列車が走りますか。ひっきりなしに列車が来ることもあれば、1時間間隔のところも。はたまた、1日1本という路線もあります。それでは列車本数についてあれこれ考えてみましょう。

日本一、列車本数の多い路線は?

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突然ですが、日本一、列車本数の多い路線はどこでしょうか。この問いは簡単なようで実は難しいのです。たとえば、JR中央本線の複々線区間(三鷹駅~御茶ノ水駅間)で普通列車(総武・中央緩行線)を入れるか、入れないかで大きく変わります。また、おなじみの山手線も京浜東北線と並行して走る区間があります。そのため、一概に「この路線が日本で一番、列車本数の多い路線」とは言いにくいわけですね。 参考程度に都心の複々線区間にある駅の本数を確認してみましょう。たとえば、朝8時台におけるJR中央本線・中央総武線各駅停車の四ツ谷駅上り方面・東行の列車本数は以下のとおりです。

 

四ツ谷駅 朝8時台 中央線快速東京駅方面(上り) 8時台:29本

 

中央・総武線各駅停車 御茶ノ水駅・千葉駅方面(東行) 8時台:21本

 

中央線快速と中央・総武線各駅停車の本数を合わせると、四ツ谷駅には1時間あたり50本も停車します。下りを合わせると100本近くになりますね。中央線快速だけでも29本も停車するので、約2分間隔で列車が来る計算になります。これだけ、ひっきりなしに来るとホームが大混雑することは必死。そのため、列車本数を多くすると、ホームの広さも考えなくてはいけません。乗客が多いから列車本数を簡単に増やす、というような単純な話ではないのですね。

日本一、列車本数の少ない路線は?

一方、日本一、列車本数の少ない路線はどこか、という問いは簡単です。答えは北海道を走る札沼線の末端区間(浦臼駅~新十津川駅)です。列車本数は何と上下各1日1本!新十津川駅の最終列車は午前10時発の石狩当別行きです。残念ながら、2020年5月に北海道医療大学駅~新十津川駅間は廃止されます。体験乗車はお早めに済ませましょう。なお、新十津川駅からJR函館本線・根室本線の滝川駅まではバスで15分ほどの距離。滝川駅には特急が停車するため、アクセスが困難な駅ではありません。

 

ところで、同じ札沼線でも北海道医療大学駅からはガラリと性格が変わり「学園都市線」という愛称が付けられています。また、列車も同駅からは電化されており、近代的な電車が行き交います。北海道医療大学駅から札幌駅方面の列車本数は1時間に1本~3本程度。しかも、札幌駅に近づけば近づくほど列車本数が多くなります。同一路線でありながら、ここまで列車本数が異なるのはなかなか珍しいです。

朝夕は列車本数が多いのに、日中が少ない?

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また、朝夕は列車本数が多いのに、日中は極端に少ない路線もあります。関東ですと、神奈川県の鶴見駅と京浜工業地帯を結ぶ鶴見線が挙げられます。たとえば、海が見えることで有名な鶴見線の終着駅のひとつ、海芝浦駅における平日の7時から13時までの列車本数を確認してみましょう。

 

海芝浦駅 時刻表 鶴見方面 7時台:4本 8時台:4本 9時台:1本 10時台:1本 11時台:1本 12時台:0本 13時台:1本

 

海芝浦駅では12時台に出発する列車はありません。「これでは不便では…」と思っても、ご安心を。実は鶴見線は京浜工業地帯で働く方々のための路線です。現に海芝浦駅の周辺は工場ばかり。そのため、通勤時間帯だけ列車本数が多いのです。 関西では以前の記事「問題!都会なのに日中まったく列車が来ない路線はどこにある!?」で紹介したJR和田岬線(兵庫駅~和田岬駅)が挙げられます。和田岬線にいたっては日中時間帯、列車は1本も来ません。こちらも、工場で働く方々のためにつくられた路線です。

時刻表を見ずに列車に乗るのは20分に1本が限界?

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さて、時刻表をいちいち確認せずに乗れる1時間あたりの列車本数はどのくらいでしょうか。人にもよると思いますが、私は1時間に3本が限界です。つまり、20分おきに走る列車であれば、時刻表を見ずに駅で列車を待てる、ということです。それでは1時間に3本のサイクルで運行される路線はどこでしょうか。

 

関東ですと、神奈川県を南北に結ぶJR相模線(橋本駅~茅ヶ崎駅)が挙げられます。相模線は関東圏では珍しく全線単線になっています。関西では路面電車である阪堺電車阪堺線(恵美須町~住吉)の日中時間帯は1時間に3本です。始発にあたるえびす町電停は大阪市内にありますが、このようにそれほど本数は多くありません。また、1時間に3本というダイヤは地方都市を中心に全国各地で見られます。

 

1時間に3本よりも少ない場合は飛行機に搭乗するように、あらかじめ時刻表を確認してスケジューリングするといいでしょう。列車を待っている時間にのんびりするのも、なかなか楽しいものです。

 

文・撮影/新田浩之