病気とわかれば、つらさは軽くなる
起立性調節障害は、体を活動モードに導く「交感神経」と、体を休息状態にする「副交感神経」がうまく切り替わらないために起こります。
起床時には、交感神経が優位にならないといけないのですが、スイッチがうまく入らず、血圧も体温も低いままなのです。めまいや立ちくらみが起きやすいのも、このためです。
とくに思春期は、身長が急激に伸びるなどして、神経の発達と体の発達にズレが生じやすい時期。その結果、起立性調節障害のさまざまな症状が現れます。
最近では、この病気がメディアにとり上げられる機会も増え、認知度が高まっています。まずは小児科に行って、診てもらうことが先決です。
思春期のお子さんを多く診ている、慶応義塾大学病院小児科の関口先生によると、「朝起きられないのは、起立性調節障害の症状だと理解することが、治療の第一歩です。それだけで、親に責められたり、自分を責めたりすることがなくなり、状態が改善してくるお子さんも多いんです。
また、「水分や塩分を多めにとる」「急に立ち上がらない」など、血圧低下を防ぐ生活上の注意も有効です。必要なら、薬を使って血圧を上げることもできます。病気とうまくつき合う意識を、お子さんにも親御さんにももっていただくことが、何より大切です」。