橋本マナミさん
いまはすごく充実していると話してくれた橋本マナミさん

グラビアでの写真家・篠山紀信さんの撮影で、「一皮むけた」と語る橋本マナミさん。そのとき、篠山さんからかけられた言葉が、橋本さんの内なるものを解き放ってくれたそう。そこから好転していくタレント人生。どんな言葉が橋本マナミさんを変えたのでしょうか。

「国民の愛人」このフレーズで仕事が殺到するも…

── 29歳から仕事が増え、芸能活動が軌道にのったのが30代と聞きましたが、そのときに感じた仕事での変化は?

 

橋本さん:

グラビアで私に「愛人にしたい女」「国民の愛人」みたいなキャッチフレーズがつき、それがきっかけでバラエティ番組にたくさん出るようになりました。それが私にとってターニングポイントでしたね。

 

女優志望だったので、お芝居をやりたいという想いはありましたが、その場所で私が必要とされているなら、頑張りたいなと思っていました。

 

今はもう女優業中心に活動をしたいと方向性を決めてもいいとは思うんですけど、私はグラビアやバラエティ方面から世に出させてもらったので、何でもやりたいんです。

 

ひとつに決めないで、お仕事をいただけるなら何でもやりたいなと思って、今もやっていますね。

 

── 「何でもやりたい」という言葉は、頑張ってきた10、20代の経験があるからこその深みを増して聞こえますね。30代ではより多くの仕事に携わることになったそうですが、そのなかで影響や刺激を受けた方はいらっしゃいますか?

 

橋本さん:

グラビアでいうと、やっぱり篠山紀信さんですかね。グラビア撮影では通常、ニップレスをつけたり、アンダーショーツを履いたりするんですけど、篠山さんからそれらを「すべて取ってくれ!」って。

 

私も、篠山さんと一緒にいい写真をどこまで撮れるかということを望んでいたので、もう「戦ってやろう」という気持ちで撮影に挑みました。

 

撮影で、篠山さんは何もしゃべらないでシャッターを切るんですけど、そのときの空間のエネルギーみたいなものが、私にはすごく心地よかったんですよね。

 

撮影前、篠山さんからは「本当のパンツは脱がなくてもいいけど、心のパンツは脱いできてね」とも言われていたんですけど、心のパンツだけでなく、本当のパンツも一緒に脱いでました(笑)。

 

その夜は興奮しすぎて、眠れないほどでした。そこから、グラビアでも一皮むけたかなと思います。

橋本マナミさん
20代は2時間ドラマで死ぬ役も多かったが徐々に役にも恵まれていった

長澤まさみさんとの共演で気づいたこと

── そのエピソードを聞いていると、捨て身で戦いに挑んで共闘するスタンスが、橋本さんの人生を後押しさえるきっかけになっているような気がしました。

 

橋本さん:

そうですね。それはありますね。自分だけじゃなかなか頑張りきれませんし、やっぱりいろいろな方に影響を受けたり、引き上げてもらったりした経験があるから、今の私があると思うんです。

 

バラエティ番組でも、梅沢富美男さんがすごく応援してくださいました。梅沢さんって世間的には女性が大好きなキャラですし、私も男性に口説かれるみたいなキャラクターだったから、一時期、一緒に出演する機会が多かったんです。バラエティ番組での立ち回りは、そこで学ぶことができたと思います。

 

── そんな手ごたえを得たバラエティ番組のみならず、念願のお芝居の仕事もどんどんと増えていきましたね。

 

橋本さん:

とくにNHK大河ドラマ「真田丸」(16年)やNHK連続テレビ小説「まんぷく」(18年)では、それまでのグラビアのイメージとは真逆のイメージの役どころで、演じていて楽しかったです。

 

実際の私は、そちらのほうが素に近かったので、「こんないい役を演じさせてもらえるとは!」と思いました。それがきっかけで、世間のイメージもちょっとずつ変えていけていたらいいなと思いましたね。

 

── お芝居でとくに影響を受けた方は?

 

橋本さん:

『真田丸』での長澤まさみさんですね。撮影には役づくりをして入るんですけど、現場に入って長澤さんと対峙したときに、役づくりでは出なかった、全然違う気持ちが湧いてきたことがあったんです。

 

相手がいるお芝居に対して、自分が感じたものを投げていく面白さをそこで感じました。

 

大森立嗣監督の映画『光』(17年)でも感情を出すシーンが多かったんですけど、監督が「ひとりで感情をつくって出すんじゃなくて。相手役をちゃんと見たら、涙も自然に出てくる」とおっしゃってくださったんです。

 

実際、その通りにしたら涙が自然とこぼれてきて。監督の言葉で、自分が感情を出すのが楽になりました。

7時間も話で盛り上がった夫との出会い

── やりたかったお芝居の仕事も含め、幅広く多くの仕事に携わり充実した日々を送っていた橋本さんが、2019年に結婚の決断をしたときはどんな心境でしたか?

 

橋本さん:

結婚願望は20代のころは全然なくて、30代に入ってから芽生えたんです。でも、なかなかいい出会いがなく、私自身、結婚は向いていないのかなと思って、仕事を頑張ろうとしていたときに出会えたのが夫でした。結婚した要因は、夫との出会いがいちばん大きかったかもしれないです。

 

── 結婚の決め手となった旦那さんの魅力は?

 

橋本さん:

(照れながら)すごくいっぱいあります。ひとつ挙げるとしたら、初デートのときに夕方からご飯を食べに行ったんですけど、その店で深夜1時くらいまで7時間くらいかな話が盛り上がったんですよ。2軒目に行こうということにもならず(笑)。

 

「何をしゃべろう」とか気をつかうこともなく、それほどまで会話ができることが、私には大事だったんですよね。彼の空気感もそうですし、誠実さもすごくあって尊敬できてすべてが、理想の方でしたね。

 

ただ、私は男性ファンの多い仕事をしていたので、結婚をしたらファンの方が離れていってしまうんじゃないかとか、仕事を失うかもしれない怖さもありました。だから、実は2年ぐらい引き延ばしているんです。とはいえ、ここまで良い方と巡り合えることって、本当に稀というか

 

いろいろ経験してきて、これが貴重な出会いだと分かっていたので結婚したんです。もしダメだったらしょうがないし、「なるようになるさ」と思ったんですよね。

 

PROFILE 橋本マナミさん

1984年山形生まれ。グラビアが話題となり、以後、女優業をはじめ、バラエティ、ゴルフ、競馬などの番組でマルチに活躍。2019年に結婚、20年に第1子を出産。今年1月からBSテレ東「婚活探偵」に出演。

取材・文/小松加奈 撮影/河内彩