2021年の働き方を調査した白書を、大橋未歩さん司会のもと、タレントのユージさん、相模女子大学大学院特任教授の白河桃子さんとひもときました。後半では私たちの「生きやすさ」につながる企業施策を表彰。アワードという形でご紹介しました。
2021年の「生きやすさ」は二極化
新型コロナウイルスの影響を受ける生活も2年目となった2021年。「誰もが生きやすい社会は実現されたか」という質問に「はい」と答えた人は全体の24%、「いいえ」と答えた人は72%でした。どちらの回答も昨年より増加し、状況の変化に対応できている人とそうでない人の「格差」が浮き彫りに。これまでは「先進国と後進国」の格差が課題と言われてきましたが、コロナ禍により「地方と首都圏」「大企業と中小企業」「男性と女性」など、国内の格差が顕在化しました。
白河さんは特に「男性と女性」の格差に言及。女性は、非正規雇用者が多いこと、コロナ禍で仕事を失ったり、メンタルケアが行き届いていない実態を挙げ、この格差に注目していく必要があると話してくれました。
2021年3月に発表された日本のジェンダーギャップ指数は、156位中120位と低い位置にあります。世界と比べてみても日本の「男性と女性」の格差解消は、緊急の課題であることがわかります。
リモートワーク環境が整い、通勤ストレスが減ったという声
CHANTO総研では、仕事と家庭の変化についても調査。「2021年の仕事における変化」について聞いたところ「ネガティブ」と答えた人は減り、その分「変化がない」と答えた人が増えました。「ネガティブ」が減ったのは、前年のコロナ禍のダメージから経済的に回復した人が増えたこと、「変化がない」が増えたのは、前年の変化が継続している結果だと考えます。
大橋さんは、社会人時代を振り返り、調査結果の「通勤ストレスがなくなった」「不要な飲み会に参加しなくてよくなった」という声に共感。ユージさんはリモートでの打合せが増えたことで、時間が有効に使えるようになり充実した2021年だったと話してくれました。
白河さんは、リモートワークなど柔軟な働き方に切り替えられる人がいる一方、所属する企業や職種によってはそうできない人たちもいると指摘。
ポジティブな働き方にシフトする人が目立つことで、そうできない人たちのジレンマは深まることが予想されます。やはり先に挙げた格差を、意識して解消していくことが、私たち全体の「生きやすさ」につながっていきそうです。
「妻の負担」を「家庭の課題」として捉えた家庭はポジティブに
家庭における変化を聞いた結果には、「家族との時間が増えた」「家事分担ができるようになった」というポジティブな声が増える結果に。
白河さんは在宅時間が増え、妻の家庭での負担を目の当たりにした夫が、どう行動したかがこの回答の分かれ目だと指摘。夫が「妻の負担」を「家庭の課題」として向き合えたケースが、ポジティブな回答をしたのだろうと予測しました。
ユージさん自身も、在宅期間中は「妻の負担」を目の当たりにしたそう。子どもの様子や日常の家事を実際に見ることで、妻から聞く話や想像だけではわからなかった面が見え、より家族に対する想いが強くなったと言います。
一週間の育休最終日に「終わった〜」と言って妻を怒らせてしまったエピソードを披露しながら、家事育児の大変さについて語ってくれました。
未来に必要な働き方は「学びと仕事のハイブリッド化」
イベントでは「未来に必要な働き方」についてもトークを展開。白書で取り上げた8つのキーワードのうち、「学びと仕事のハイブリッド化」「男性育休デフォルト化」「格差のない雇用」「メンタルケア」についてお話していただきました。
以前から必要性が言われてきた社会人の学びですが、コロナ禍で働き方・学び方が柔軟になったことで、「学びと仕事のハイブリッド化」が加速。
一見、仕事に直結しないような学びであっても、副業につながるなどの流れが出てきています。
大橋さんは、競争の激しい女子アナ界の生き残りを意識して、局アナ時代に大学院に通った経験の持ち主。白河さんは、大橋さんに対して「さすが先見の明がおあり」と褒める一方、今後は女性だけでなく男性ミドル層にもこのマインドが求められると教えてくれました。
「男性育休デフォルト化」は、共働きが多数となり育児に積極的な男性が増える中、必須の動き。制度があっても利用できないような企業は労働者から選ばれないようになると考えられます。「男性育休デフォルト化」は「格差のない雇用」「メンタルケア」と合わせて「男性と女性」の格差是正につながる鍵となるもの。
「生きづらさを当然とせず、私たちが課題に気づき声を上げていくことが『生きやすい社会』につながる」という大橋さんの締めくくりで前半は終了しました。
CHANTO総研アワード3つの企業施策を表彰
イベント後半では、CHANTO WEBが今年一年の取材を通じて出会った企業施策の中から、「私たちの生きやすさにつながる」ものを表彰。
今年は以下の3つの企業施策が受賞となりました。
・週休3日制度(株式会社陣屋)
・スマートオフィス構想(株式会社ダンクソフト)
・短時間正社員制度(広島電鉄株式会社)
それぞれの施策に共通するのは、“企業成長”と“従業員の人生充実”の両立を目指す姿勢。3社の取り組みは、私たちが今抱えている「働き方の課題」に気づくきっかけとなり、希望を感じさせてくれるものでした。
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コロナ禍も2年目となり、2021年は変化にどう対応するかが問われた年でもありました。今後も、CHANTO総研は生きやすい社会の実現につながる新しい働き方について、調査と発信を続けていきます。
【1週間限定】働き方フェス2021が試聴できる!!
働き方フェス2021のアーカイブ動画を期間限定で公開します。登壇者の親しみやすい語り口で、働き方の課題を探るだけでなく、企業の実践例も学べる盛りだくさんの1時間。時間に余裕のある年末年始に是非ご視聴ください! 視聴期間:2021年12月27日(月)17:00〜2022年1月3日(月)17:00 ※視聴期間は終了しました。たくさんのご視聴ありがとうございました。