赤ちゃんファーストな寝室作りを!

——親が「良かれ」と思った行動が、実は赤ちゃんには快適でなかったのですね。

 

菊池先生:

寝相が悪くよく動いてしまうのも、暑さやかけたタオルが重いなど不快を感じて、自分にとって「快適な寝床」を探していることがほとんどです。両親が赤ちゃんを間に挟んで川の字状態で眠ると、深部体温(身体の奥深くにある脳や内臓の体温)が上昇し、暑がって夜泣きが起こることもあります。親としては、赤ちゃんに適した環境を整えてあげることが大事です。

 

——快適な寝床をつくるためには、どのような点に注意したらいいのでしょう?

 

菊池先生:

快適な寝床を作るには以下のことに注意しましょう。寝具は固めの敷布団やマットが安心です。掛け布団は分厚いものだと、鼻・口・気道をふさぎ窒息させる危険性があります。軽くて、子どもの力ではねのけることができるものを選びましょう。寝室の明かりはホテルのフットライトくらいが理想的です。

 

夜泣きはママのせいじゃない。S O Sを出して!

——夜泣きに悩む親に最後にメッセージをお願いします。

 

菊池先生:

生まれつき眠ることが上手でない赤ちゃんがいます。また、赤ちゃんの体は未発達であり、眠り続ける力が育つのが“ゆっくりタイプの子”もいます。そして、赤ちゃんと大人では、同じ環境にいても感じ方にも違いがあり、快・不快の基準が異なります。

 

そのため、お母さんが熱心に愛情込めて世話をしても、赤ちゃんが夜泣きをすることはよくあります。言葉で意思疎通できないもどかしさを赤ちゃんもお母さんも日々感じています。夜泣きをした日は、普段と違う刺激の強い経験をしましたか?暑さ寒さの調節は、赤ちゃん目線でどうでしょう?それとも、新しいパジャマの素材が気に入らなかった可能性はないですか?

 

このように、お母さんが子どもの心に耳を傾けようと努めるプロセスそのものが、母子間の愛着形成を深めることにつながります。結果として、その理解が少々ずれていても、子どもは自分に目を向けてくれたことに安心を感じ納得するはずです。

 

夜泣きはママのせいではありません!一人で悩まず、パートナーや地域の保健センター、医療機関などにも相談してみましょう。拙著『夜泣きが止まる本』(風鳴舎刊)もお役に立つことを願って書きました。そうして1つずつクリアしていけば、グッスリ眠れる子に育ち、親も安心して眠れる日が来るはずです。

 

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PROFILE 菊池清先生

菊池清先生
福岡県生まれ。1977年、京都大学医学部医学科卒。医学博士。現 兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センター長。日本初の夜泣き外来を2018年に立ち上げ、全国から夜泣きに悩む親子が受診に訪れている。

 

文/桐生奈奈子