今回は和歌山市内を走るJR紀勢本線の一部、和歌山~和歌山市間を取り上げます。全長3.8キロの短い路線ですが、いろいろ不思議な点がたくさんあります。写真入りで和歌山~和歌山市間の魅力を紹介しましょう。

JR紀勢本線(和歌山~和歌山市)について

JR紀勢本線は和歌山市と三重県の亀山を結ぶ全長約380キロの路線ですが、和歌山~和歌山市間は別路線のような扱いになっています。つまり、電車は和歌山~和歌山市間のみを行き来し、その先の大阪や新宮方面には行きません。この区間、今では2両編成の普通電車が往来していますが、35年前までは南海電鉄のディーゼルカーが通り、難波と白浜を結んでいました。

 

一方、和歌山〜新宮間は同じJR紀伊本線ですが、この区間には「きのくに線」という名称(ニックネーム)が付いています。

 

和歌山駅では阪和線、きのくに線、和歌山線、和歌山電鐵、和歌山市駅では南海電鉄線に接続します。和歌山駅と和歌山市駅の中間には紀和駅もあり、1968年まで「和歌山駅」を名乗っていました。

2つの「和歌山」を結ぶ最新車両

現在の和歌山〜和歌山市を結ぶ路線には最新車両、2271000番台が使われています。デビューは20193月と出来立てホヤホヤの電車です。この車両は紀勢本線の他に和歌山線や桜井線(万葉まほろば線)でがんばっています。和歌山~和歌山市間では2両編成のワンマン運転です。

 

車内は3扉のロングシートで、トイレがついています。実際にトイレを利用しましたが、広々としたきれいな洋式トイレでした。子どもが利用しても問題はないと思います。

 

ワンマン運転では駅員がいる駅を除き、降りる際は前よりの車両の1番前の扉から降りましょう。駅員がいない駅で降りる場合は事前に前よりの車両に移動することをおすすめします。

 

227系1000番台の最大のポイントはドア横にあるICカードリーダです。これは電車に乗った際、バスのようにICカードをカードリーダにタッチするための機械です。私が訪れた時はまだ使えませんでした。しばらくすると使えるようになるのでしょう。

南海電鉄が管理する和歌山市駅

和歌山駅を発車してわずか7分、電車は和歌山市駅に着きました。和歌山市駅には難波などから次々と南海電車がやって来ます。目の前から加太線の観光電車「めでたいでんしゃ」が発車しました。

 

和歌山市駅は2番線から7番線まであり、3番線から7番線は南海電鉄が使います。JRは端の2番線を使いますが、南海電車に囲まれる中、少しいづらそうな感じです。

 

JR和歌山市駅に着いたら駅名板をチェックしましょう。何とJRの駅でありながら、駅名板のレイアウトは南海仕様となっています。そうです、和歌山市駅は南海電鉄によってコントロールされています。そのため、JRの駅であっても、レイアウトは南海風なのです。

 

JR和歌山市駅では出口通路よりも「南海線のりば」の方が目立っています。南海線に乗り換える際は中間改札を通ります。ICカードがなく、南海電鉄のきっぷがない場合は改札機の近くにある「南海きっぷうりば」で南海のきっぷを買いましょう。

 

JRきっぷうりばもありますが、南海と比べるとサイズはとても小さいです。わからないことがあれば券売機の横にあるインターホンで質問しましょう。

 

2017年6月まで和歌山市駅でのJR、南海の改札口は同じでした。今は別々になっています。この改札口は南海なので、まっすぐ進むとJR線には乗れません。

 

和歌山市の駅舎には「JR」という文字がありません。あくまでも「南海の駅」であることを全力アピールしています。2020424日にはランドマーク「キーノ和歌山」がオープンします。和歌山市駅は大きく変わろうとしています。

和歌山~和歌山市間の注意点

和歌山~和歌山市間を利用する際はいくつか注意点があります。和歌山県を代表する和歌山駅と和歌山市駅を結ぶ路線でありながら、概ね9時台~15時台の列車本数は1時間に1本しかありません。和歌山駅~和歌山市駅間には和歌山バスがたくさん走っているので、行きは電車、帰りはバスという使い方もアリです。

 

和歌山~和歌山市間の電車が出発する8番線ホームには自動改札機があります。企画乗車券「青春18きっぷ」を持っている場合は改札機横にあるインターホンで「青春18きっぷ」を持っていることを伝えましょう。すると、改札機のドアを開けてくれます。

 

和歌山~和歌山市間はあまり取り上げられない路線ですが、このようにおもしろい点がたくさんあります。和歌山電鐵の「ネコ電車」に乗った合間に訪れてみませんか。

 

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文・撮影/新田浩之