共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
社長自身が3度の育児休業を取得するなど、働き方についての話題では必ず名前が上がる企業「サイボウズ」。2018年には全社員が自分の働き方を宣言する「働き方宣言制度」をスタートさせています。
社員が自由に働ける会社の仕組みがどうなっているのかについて、現在の人事制度運営に携わる野間さんと、制度導入前後を体験してきた山口さん2人に取材しました。
※記事の内容は2020年2月取材時点のものです。現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会社として従業員の出社を最低限とするほか、行政機関への支援、他社のテレワーク導入への情報提供などの取り組みを行っています。
社員自らが自分の働く時間や場所を宣言
──サイボウズは働き方改革にいち早く取り組まれてきた企業ですが、最近では社員が自分自身の働く時間や場所を決める制度を導入されていますね。一体どういった内容なのか、詳しく教えてください。
野間さん(サイボウズ):
2018年4月から「働き方宣言制度」を始めました。1週間のうち何時から何時まで、どこで、どのように働くかを、全社員が宣言する制度です。
チームとして受け入れられる働き方なら、何時から何時まで働くかは原則自由です。満員電車を避けるために勤務時間をピークタイムからずらしたり、子どものお迎え時間に合わせて、出社時間は短くして帰宅後に1時間自宅で作業するという働き方をしている社員もいます。
──社員に合わせて比較的柔軟に対応できる制度なんですね。とは言え、全社員が自由に働くと、勤怠管理が難しそうなイメージがあります。なぜそのような非常に柔軟な制度を作ったのですか?
野間さん(サイボウズ):
当初は働き方のモデルを3パターンほど決めて、それを社員に選んでもらう形をとっていました。その後は、時間軸と場所軸で働き方を9分類し、そのなかから自分が希望する働き方を選ぶ「選択型人事制度」を採用していました。
しかし社員数が増加するにつれ、複業を行う社員など次第に9分類には当てはまらない働き方をする人も増えてきたんです。そこで、3パターンや9分類などの選択肢をなくし、予め社員本人に宣言してもらうスタイルに変更しました。
出退勤などの管理は、弊社のkintone(キントーン)というクラウドサービス上で行っているのですが、不便は感じません。有給残日数管理や休暇申請などは、むしろリアルタイムで確認できるメリットもあります。
──全てがオンラインで完結することで、かえって利便性が増すのですね。ちなみにお二人は、どういった働き方をされているのでしょうか?
山口さん(サイボウズ):
私は最近ちょうど働き方を変えたばかりで、9時から18時まで会社に出社するフルタイム勤務に戻りました。ただ、「ウルトラワーク」をする日もあります。
──「ウルトラワーク」というのは一体どんな働き方なのですか?
山口さん(サイボウズ):
当社では、働き方宣言制度で宣言した働き方とは異なる働き方を単発で勤務することを「ウルトラワーク」と呼んでいるんです。総労働時間のうち10%を目安として、ウルトラワークをすることができます。
例えば、私には小学生の子どもがいるんですが、平日に保護者会など子ども関連の用事が入る日があります。平日の行事に参加するためには、通常だと「(用事のために)午後休を取るか、丸一日休むか」ということになりますよね。
私の場合は、通勤時間が往復2時間かかるんです。この時間を有効に使うことができれば、仕事と育児を無理なく両立することができます。ウルトラワークを利用して、保護者会に参加する13時から15時は中抜けして、通勤にあてるはずだった2時間を在宅勤務でカバーするといった働き方が可能なんです。
別のチームのママ社員では、遠くの学校に通っている子どもを送り届け、一緒に帰るために近くのカフェで待ちながら仕事をするという人もいるようですよ。
野間さん(サイボウズ):
私は通常9時30分から18時30分まで出社して働いていますが、野球観戦が趣味なのでプロ野球観戦する日は8時から17時まで「ウルトラワーク」をしています。