在宅勤務制度を進化させた「ウルトラワーク」
──ウルトラワークは働き方宣言制度でカバーしきれないイレギュラーな事態に対応するためのものというだけでなく、使う人によってかなり自由な使い方ができるんですね!?
野間さん(サイボウズ):
ウルトラワークは在宅勤務制度を進化させた制度です。在宅勤務制度自体は2010年から運用していたのですが、やはり子育てや自分の趣味を理由に利用するということに対して遠慮や抵抗のある人もいまして……。
そこで、「ウルトラワーク」という名前をつけて制度化することで、在宅勤務を選びやすい環境を整えたんです。また、制度化したことで、周囲の人も受け入れやすくなったようです。
試験運用を経て2012年から導入されました。
当日、病院に行きたいなどの突発的な理由で制度を利用することも可能です。育児や介護だけではなくもっと個人的な理由、それこそ「宅配便で大型家電を受け取らなくちゃいけないので、今日は早く帰ります」なんて使い方もできます。
──革新的な人事制度ですね。個人で自分の働き方を決められる企業は他社ではあまり見ません。初めての経験に戸惑ったり、難しいと感じる人もいそうですが……。
野間さん(サイボウズ):
もちろん、今まで通り9時から18時の就業時間に合わせて出社するフルタイム勤務を続けている社員もいます。
受付業務など、出社が必要な仕事もありますし、誰もが在宅勤務100%というわけではありません。部署によっても仕事内容は異なるので、在宅勤務やウルトラワークも、当然のことですが使う必要のない人は使わなくてもかまわない制度です。
ただ、会社としては生産性が高く、より社員が希望する働き方を実現できる環境にしていきたいと考えているので、「こういう働き方をしたい」と希望している人がいるならば、その働き方が実現できる環境を整えています。
山口さん(サイボウズ):
働き方宣言制度は、一度宣言したらその働き方をずっと続けなくてはいけないというものではありません。1ヶ月単位で内容を変えられます。
宣言した働き方が自分に合っていないと感じたら、翌月から時間数を変更することも可能です。もちろんアウトプットや総労働時間数が変更となる場合は、それに伴いルールが変わってくるので給与なども見直しが入ります。
こまめな連絡や顔文字活用でコミュニケーションを図る
──在宅勤務するメンバーと、オフィスにいるメンバー同士での連絡のやり取りは、どのように行っているのでしょうか? 工夫している点や不都合な点をお聞かせください。
野間さん(サイボウズ):
社員同士は、社内のグループウェアを活用して連絡を取り合うことが多いですね。顔が見えないので、在宅勤務を開始するときには「おはようございます!今から在宅勤務します。」とメンバーに挨拶したり。
山口さん(サイボウズ):
グループウェアではテキストベースのやり取りなので、顔文字や会話調の表現を使ったりして文章がキツく見えないような工夫は心掛けていますね。
もちろん、やり取りしていると「もし直接話していたらもっと早く決まったかも」と思うようなケースもあります。テキストベースのやりとりだと、微妙なニュアンスが拾いきれないようなこともあるので……。
ただ、たった1回のミーティングのためだけに参加メンバーのスケジュールを調整して、集まる労力を考えると、お互いに仕事のペースを変えなくて済むのでいいかなと考えています。
グループウェア上のコミュニケーションであっても、丁寧なやりとりを心がければ、誤解や認識の齟齬が生じずに済みますから。