いち個人として、子どもの気持ちや選択を尊重することの大切さ

作者のさざなみさんは、3歳と1歳の姉妹を育てているママ。Twitterで、日々の子育てについてのマンガや自身の育児経験をもとにした育児に役立つイラストなどをアップしています。

 

「3才にまなぶひとづきあい」の他、幼稚園のルールについて子どもと共に考えた「3才と考えるルール」、日々のしつけをどう言えば子どもに理解してもらえるかを考えた「伝わる言い方・伝え方」など、子どもの目線に立って考えているものがさざなみさんのマンガの魅力です。

 

さざなみさんがTwitterで公開している「こどもへの伝え方」

 

「子どもの立場に寄り添って……というのを特別に意識しているわけではないのですが、子どもにどう伝えれば分かってもらえるかということはよく考えているテーマです。そういう意味で、自分が子どもからどのように見られているか、自分の言葉が子どもにどのように受け止められているかについてはよく想像を巡らせます」とさざなみさん。

 

「3才にまなぶひとづきあい」でも娘さんの視線を見て本当の気持ちに気づくというコマがありましたが、普段子どもの様子を見る際に心がけていることはあるのでしょうか?

 

「3歳ともなると、言葉で気持ちを飾ることを覚えますがまだ表情までは偽れません。普段から観察していると、目つきや口元の様子から手に取るように気持ちが分かるときがあります。聞いていない顔、すねている口、飽きているポーズ、嫉妬の目……思いもかけないタイミングでそれらを目にしては、子どもの内心に思い至ってはっとすることがあります」

 

普段からどういうときにどんな表情、しぐさをするのかなど子どもの様子を観察することは、子どもが成長してからも何を考えているのか察するいいヒントになりそうです。

 

先のマンガの中で印象的なのは「この子は私と違うのだ」という一文。赤ちゃんの頃から育ててきた我が子のことはなんでもわかっている気持ちになるもの。自分と違う人間だと線引きすることは普段から意識しないと難しいですよね。さざなみさん自身、子どもと自分を分けて考えるのは大変だったといいます。

 

「生まれる前は文字通り一心同体として過ごし、生まれてからも自分の身体の一部を手入れするようにきめ細やかにケアしてきた娘を、自分とは違う人間だと認識するのは難しいことでした。大切であるからこそ、不安や危険や落胆から可能な限り遠ざけて守ってやりたいと思うのです。でも、それをしては失敗する、それを選んだらがっかりすると先回りして選択肢を狭めてしまうことになりますよね

 

そんな状況だったさざなみさんが「子どもには子どもなりの考えがある」と初めて気づいたのは、マンガの約1年前、娘さんが2歳のときだったそう。

 

初めてインフルエンザになってしまい、家の中にしばらく引きこもることになってしまったため、病院の帰りにふたりで本屋に寄り本を買うことにしたそう。しかし、娘さんが買いたいと思う本はさざなみさんにはおもしろさがわからない本でした娘さんが嬉しそうにその本を抱えていたので、「他のにしたら」と言いたいのをぐっとこらえそのまま購入しました。

 

しかし、それから風邪が治るまでの数日間はその本が大活躍。自分で選んだ本を娘さんは繰り返し繰り返し読み、その姿を見てさざなみさんは娘さんの選択を却下しなくて良かったと心から思ったそうです。

 

「娘がすでにもう、自分の好きな物を自分で分かるほどに成長したのだと気づきました。もしその雑誌が娘の期待を裏切ったとしても、自分で選んだものを買ってもらったという事実は娘に責任感と満足感をもたらすはず。そう考えるといいことだらけです。これからはできる限り本人の意見を聞こうと考えるきっかけとなりました

 

子どもに「好きなもの選んでいいよ」と選ばせても、つい親の都合や好みで却下してしまうことありますよね。でも子どもに選択させることは、成功しても失敗しても子どもの成長にとても重要なこと。無意識のうちにそうした機会を奪っていないか考えてみるといいかもしれません。