今や当たり前の女性専用車両。文字通り、女性しか乗れない車両ですが、それでは男の子は同乗できないのでしょうか?通勤で利用していても意外と知らない、女性専用車両について詳しくレポートします。
そもそも、女性専用車両とは?
女性専用車両は文字通り、女性が乗れる車両。逆に書くと、基本的に男性は乗れません。 女性専用車両の歴史は古く、最初に導入されたのは1912年、現在の中央本線だと言われています。
当時は「婦人専用電車」という名称で登場しましたが、短期間で廃止に。戦後になり再び復活し、「シルバーシート」が導入された1970年代まで運行されていました。他線区でも導入されましたが、短期間で廃止されています。その後、女性専用車両ゼロの時代が続きましたが、2000年に京王電鉄京王線で試験導入。女性利用客からの好評を博し、北は北海道、南は福岡県まで、都会部を走る路線を中心に導入されています。
女性専用車両は1編成に1両というのが全国の共通事項です。女性専用車両に指定されている車両にはドア周辺に「女性専用車両」という大きなステッカーが。もちろん、誤乗を防ぐために車内にも女性専用車両であることを示すステッカーが貼られています。
問題は女性専用車両が設定されている時間帯と列車です。全国を見渡しても、終日にわたって女性専用車両が設定されている路線はそれほど多くありません。また、すべての種別に設定されている例も少ないのが現状です。女性専用車両を平日終日にわたって設定している路線は以下のとおりです。
終日、女性専用車両が設定されている路線
- 名古屋市営地下鉄/東西線
- JR西日本/大阪環状線、学研都市線、JR東西線、JR京都線、JR神戸線、琵琶湖線、湖西線、JR宝塚線、阪和線、大和路線、和歌山線、おおさか東線
- 阪急電鉄/京都本線
- Osaka Metro(大阪メトロ)/御堂筋線(北大阪急行南北線を含める)
- 神戸市営地下鉄/西神・山手線(北神急行北神線を含める)、海岸線
この中で全列車に女性専用車両が導入されている路線は名古屋市営地下鉄東西線、大阪メトロ御堂筋線、谷町線、神戸市営地下鉄西神・山手線、海岸線です。さらに、JR西日本と神戸市営地下鉄は土日祝日も女性専用車両の設定があります。
女性専用車両に子どもは乗せられるか?
結論から先に書きます。親同伴であれば小学生以下に限り、男児でもすべての女性専用車両に乗車できます。ただし、男児単独になると「乗れる」女性専用車両と「乗れない」女性専用車両に分かれます。男児単独だと「乗れない」女性専用車両は以下のとおりです。
男児単独だと「乗れない」女性専用車両
- 名古屋市営地下鉄/東山線、名城線・名港線
- 阪急電鉄/京都本線、宝塚本線、神戸本線
- 京阪電気鉄道/京阪本線、鴨東線
- 阪神電気鉄道/本線
- 近畿日本鉄道/奈良線
- 南海電気鉄道・泉北高速鉄道/南海線・空港線・高野線・泉北高速線
- 神戸市営地下鉄/西神・山手線(北神急行北神線を含める)、海岸線
- 神戸電鉄/有馬線、三田線、粟生線、神戸高速線
- 西日本鉄道/天神大牟田線
上記の路線に住む小学生以下の男児がいる親御さんは子どもに女性専用車両には乗らないように伝えておきましょう。
女性専用車両の注意点
女性専用車両を利用するにあたり、いくつか注意点があります。まず、女性専用車両が設定されている列車を調べる必要があります。先ほど見たとおり、多くの路線では全列車ではなく一部の列車に女性専用車両を設けています。事前に鉄道会社のホームページで確認することをおすすめします。
また、女性専用車両は1編成に1両のため、ホーム上に貼られた女性専用車両を指し示すステッカーの前で待つことをおすすめします。朝・夕ラッシュ時における車内の移動はとても大変ですから。
有料座席指定車両も活用しよう
女性専用車両が設定されていない時間帯の場合は有料座席指定車両の活用も考えられます。この車両は特別料金を払うかわりに指定席を予約できるのが特徴。ほとんどの有料座席指定車両は2人がけのクロスシートになっています。そのため、子どもと2人で乗れば、男性利用客に気兼ねなく過ごせます。なお、有料座席指定車両も設定されている時間帯が限られているのでご注意ください。
女性専用車両に関する情報は頻繁に変わります。大規模なダイヤ改正の度にチェックすることをおすすめします。
文・撮影/新田浩之