もう、完全に大人に向けて作っているでしょう、これ!
もちろん、主人公はしんちゃんです。観衆の子どもたちは、しんちゃんのオナラやチンチンに爆笑するでしょう。でも、ひろしとみさえの物語が大人たちを号泣させるのです。 子育てに忙しい母・みさえ、毎日遅くまで働く父・ひろし。親になり、毎日ヘトヘトの彼らが、自由を謳歌した昭和の時代を懐かしみハマってしまう気持ち…今なら僕も分かります。
「あの頃はよかったなぁ」とか「青春時代、楽しかったなぁ」とか。たくさん遊んだ独身時代、日々の暮らしがもっと自由だったあの頃を懐かしむことだって、時にはありますよね? 独身時代に過ごした街を息子と歩いた時に「うわぁ、すっごい遠くまできたなぁ…」となんだか胸がザワザワするあの感じ。もう二度と戻ってこないあの頃を懐かしむ気持ちはよく分かります。
この作品は、そんな楽しかった過去に囚われた大人たちが辛い現実に立ち向かい、未来を手に入れようと奮闘する物語でもあるのです。洗脳された父・ひろしがしんちゃんの活躍によって目覚めるシーンは涙無くして観られません。
出来るだけ振り返らない、という後ろ向きな解決策。
僕は割と「みんなで昔を懐かしむ」というイベントが苦手でして。まぁ、友だちが少ない。学生時代から付き合いが続いている友達が皆無。同窓会には出来るだけ参加しない。というネガティブな状況が重なって昔を懐かしまずに済んでいます。
それも理由がありまして…同窓会なんて、楽しいに決まっているからです。過去の思い出話には現在進行形の悩みがないですから。全ての思い出は、すでに時効になったおもしろ事件と言えます。そんなの…めちゃくちゃ楽しいに決まってるんです。そして僕はきっと、昔を懐かしみつつ現在の不満をポロポロと口にしてしまいそうで…恐ろしい!
過去を振り返って懐かしむ暇があったら、現在と未来をよくするためにがんばらないと!こんな風に思えるのも、クレヨンしんちゃんのお陰なのかも知れません。 今日も飲みすぎない! 明日も早起きする! また会いましょう!
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