週末は介護職員として働き、開発に10年の月日が
── 大学4年時に起業し、製品化に至るまで10年を超える年月がかかっています。その間、どのような試行錯誤があったのですか?
宇井さん:大学卒業後、現場をより深く知るために、週末は介護職員として働くことにしました。ただ、まず感じたのが「排泄センサーって、本当に必要なのかなあ…」という不安です。介護現場の課題は多様で、単純に排泄のにおいを検知して知らせるだけでは需要は望めないのではないかと思ったんです。たとえば、排泄のタイミングだけでなく、排泄のリズム(周期)を知りたいなど、現場ごとに求める情報が違っていて。
でも、しばらくして考えを改めました。介護現場の課題が多様であれば、提供する排泄センサーもそれに対応した使い方ができるように、現場の悩みに即した形でブラッシュアップすればいいんだと思ったんです。そこで、最適なおむつ交換のタイミングを通知するほか、利用者さんの排泄データを蓄積して、パターンを自動でグラフ化するなど、機能性を高めていきました。
また、当初は介護現場で排泄センサーの価値を見出せていなかったんですけど、人手不足になるにしたがい状況が変わっていって。猫の手も借りたいほど忙しい現場で、ニーズがさらに高まっていきました。

── 製品リリース後の施設導入状況、現場での反響は?
宇井さん:ヘルプパッドは現在、全国40以上の都道府県の介護施設、病院に導入されています。反響としては、ある施設の例でいえば、ヘルプパッドの導入により1週間あたりの夜間のおむつ交換回数が35%減となり、空振りは107回から11回と約90%減少、漏れは14回から2回へと86%減少となりました。こうした大幅な業務改善や、排泄ケア課題の解決につながったという声をいただきます。