「排泄介助」現場からあがった意外な悩みは

── さらに、現場の職員の方に「排泄介助」の課題についてヒアリングをされたそうですね?

 

宇井さん:職員の方のためにも、介護現場で大きな問題となる「排泄介助」をテクノロジーでどうにか解決したいという思いから、実習の終礼後に、現場で一番解決したい課題を聞いてみたんです。すると返ってきた答えは「おむつを開けずに中が見たい」という、切なる願いでした。

 

宇井吉美
介護ロボット開発者を志し、千葉工業大学へ進学。在学中に起業した

── その言葉には、どんな真意があるのでしょうか?

 

宇井さん:便や尿が出ているのにおむつの確認が遅れると、利用者さんは不快な気持ちを長く抱えるうえ、万が一ベッドなどに漏れてしまうと介護職員さんは後始末が大変です。だからと言って、こまめにおむつを確認するのは、利用者さんの尊厳にも関わりますし、寝ているのを起こしてしまったり、冬場なら寒い思いをさせることにも。現場ではそのことに頭を悩ませていたんです。

 

「この問題が解決できれば、介護する側、される側の負担は大幅に軽減される」。その事実を知った私は、排泄センサーの開発に取り組みました。その後、製品化をするために大学4年のときに起業、そして2019年、においで排泄がわかるヘルプパッドの製品化を実現したんです。

 

ヘルプパッドはベッドに敷くシート型の排泄センサーです。AIが尿や便のにおいや温度、湿度などから排便を検知し、介護者のスマホやパソコンに通知します。それを受けて、最適なタイミングのおむつ交換を可能とするわけです。