15億の借金にうつ病、そして妻と離婚

── フェラーリを電話一本で買う時代ですね。

 

小西さん:そうだね。でも、そこからまた一気に転落するの。僕が考えるようなカラフルなデザインよりシンプルな服やユニクロのような服が流行り出して、「これはまずいぞ」と言ってる間に借金がどんどん膨らんでいって。気づけば15億の借金を抱えていた。車もマンションも全部取られて、実家の母の呉服屋まで銀行が押しかけ、僕がはがい締めにされながら母に借金返済を迫るとか。今じゃあり得ない話だよ。うつ病を患って命を絶つことも考えたけど、どうにか踏みとどまって、とにかく借金を返すことだけ考えた。

 

でも、「もうダメだ…」と思っているときにテレビ局から声が掛かってきてさ。街を歩いてる人のファッションを見てコメントしてって言われたんだよ。のちに「ファッションチェック」のコーナーになったんだけど、鬱憤も溜まっていたのか辛口でコメントしたら、それがなぜかウケちゃって。そこから「ドン小西」の名前でたくさんテレビに出るようになった。

 

「捨てる神あれば拾う神あり」ってやつ。ただ、ファッション業界からは「あいつはクズになった」「芸能人気取りか」って批判がすごくて、ファッションイベントには呼ばれなくなった。でも、そんなことよりとにかく求められたことをやって、借金を返すためにガムシャラに働くだけだったんだよね。

 

── しかし、借金を返済している最中、50代の頃に早苗さんと離婚されます。

 

小西さん:事業がうまくいかなくなってケンカが増えたし、話をしても噛み合わない。僕も借金を抱えて精神的な余裕がなかったし、お金もなかったけれど、気を紛らわすために朝までフラフラ飲んでいて。たまたま女の子と一緒に飲んでいたら早苗の耳に入り、「こんな大変なときに!」と言われたりね。今でも覚えているのは、テレビでしゃべる僕を見て、「あなたこんなにしゃべる人だったのね。びっくりした。よくぞ何十年も猫被ってたわね。無口でクールな人だと思った」なんて言われてさ。もう無理だと思ったよ。