「色が再現できない」天然の原料ゆえの苦労

おやさいクレヨン
意外な発想で業界に旋風を巻き起こした「おやさいクレヨン」

── それがクレヨンという発想になったんですか?

 

木村さん:最初は「インク」を考えました。でも液体は、天然の原料を使うと、カビが生える可能性があり、「クレヨン」に切り替えたんです。クレヨンなら野菜を乾燥させることで水分が蒸発でき、その粉末を固めて作れます。子どもが最初に使う文房具にもなるので、親子で使える野菜のクレヨンを作ろう!と決めました。

 

まず自分たちで試作しようと、野菜を細かく刻んで乾燥させ、市販のろうに混ぜてみたんです。でも、思うような色が再現できないばかりか、ベタついて少し柔らかくなってしまいました。その後、発色は薄いですがクレヨンの原型が完成。「製品化のためにプロに相談が必要」と、そこからクレヨン工房を探しました。 

 

── クレヨン工房は何のつてもなく、ゼロから探したのですか?

 

木村さん:そうです。当時はまだ法人ではなかったので、「青森から見ず知らずの女性がいきなり電話をかけても断られるだろう」と覚悟していました。でも幸い、1社目の老舗工房が「ちょうど新しい商品を作りたいと思っていた」と興味を示してくださって、試作できることになったんです。結果的にその工房とは長いお付き合いになり、現在もクレヨン製造をお願いしています。

ヨーロッパ規格の検査をクリアした「安全なクレヨン」

── 原料の野菜はどのように調達したのですか?

 

木村さん:青森県内の農家や食品加工工場、流通業者さんから規格外の野菜や廃棄する野菜くず、過剰在庫の野菜を集めて買い取りました。ほかにも店舗ではキャベツの外側の葉など、廃棄する部分が出てくるので、回収してクレヨンにできないか試していきました。

 

──「おやさいクレヨン」は、安心・安全なクレヨンというコンセプトです。世界で一番厳しいといわれる欧州規格の玩具の安全性検査も2014年にクリアしているんですよね。

 

木村さん:通常のクレヨンは石油系のワックスが主原料ですが、せっかく野菜を使うのだから、できるだけ自然由来の材料で作りたいと思ったんです。蜜蝋やなたね油などいろいろ試した結果、米ぬかから抽出した米油とライスワックスにたどり着きました。

 

── 野菜の香りは残るんでしょうか?

 

木村さん:ねぎなど、香りが強い野菜は、クレヨンでもほんの少しねぎの香りがするので、自分の娘のような野菜嫌いの子も、遊びを通じて野菜に親しめるのではないかと感じました。試作したクレヨンは野菜そのものの色が見事に生かされていたので、「オレンジ」や「緑」ではなく、「にんじん」や「ほうれんそう」など、野菜や果実の名前をクレヨンに記しました。